おやすみセニョリタ 『ROCA コンプリート』 いしいひさいち / 徳間書店
説明のつかない本というものが、ときどき、ある。
それは頭の上から(物理的に)降ってきたり、曲がり角を折れたところで(化学的に)突き刺さってきたりする。
説明など、ない。
ほかの言葉に置換できるようなら、そんなものは作品ではない。
『ROCA』は、吉川ロカという一人の女子高生が、(ポルトガルの国民歌謡たる)「ファド」の歌い手となる、その過程を描く一連の(主に)4コママンガである。
背景を記すなら、朝日新聞掲載のいしいひさいち『ののちゃん』のサブキャラとして登場した吉川ロカと柴島美乃のからみ(当初はギャグ色が強かった)がのちに自費出版版『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』にまとめられ、それに続編『花の雨が降る ROCAエピソード集』、『金色に光る海 ROCA短篇集』、さらに描き下ろしを加えて1冊にまとめられ、一般書籍化として徳間から発売されたものが今回の『ROCA コンプリート』である。
個人的な感想は『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』、あるいは『ののちゃん全集』の折々の書評に置いてきたのでここでは繰り返さない。
今回ちょっと思いついたことは、『ROCA』の物語は、その4コマの側から溢れてくるものではなく、読み手側から作品に流れ込んでいくものだということだ。
僕たちはいしいひさいちの描く吉川ロカと柴島美乃に笑いや感動を与えられるのではない。ただ、読み手が2人を寿ぎ、読み手が2人を慈しむ。
それが、すべてだ。
さて、ようやく1冊にまとまり普通の書店で手に入るようになった『ROCA』だが、その内容に(まことに身勝手極まりない)難点を指摘するとしたら次のことだ。
本書はいしいひさいちの作品から吉川ロカと柴島美乃の登場するものを切り抜き、再配置したものである・・・がゆえに、この1冊のみを読んだ場合、それが、『ののちゃん』の山田家の町を舞台にした物語であるという実感が持てない。
山田家の町でかつて連絡船の海難事故が起こり、両親を亡くした2人の少女が出会い、その一人の励まし(?)を得てもう一人がファドの歌手として育っていく。
ただの話ではない。これは、いしいひさいちの手で何十年にもわたり何千話も書かれたその山田家の物語と地つなぎだからリアリティがあるのである。そうでないとこの1冊の中に収められた4度のラストシーンを両手に掴めない。片手ではこぼれてしまう。
だから、こうして「コンプリート」された『ROCA』の物語になんらかの感銘を受けたという方がおられるなら、どうか『ののちゃん』の全集本から自費出版版まで手間をかけ、最初から物語をたどっていただけたら、と思う。
これはその労力に足る、貴重で豊かな物語なのだと思う。








終業式、校長先生の挨拶。
親の代から取り続けた朝日新聞の購読を数年前に止め、唯一残念に思っていたのが
いしいひさいち、デビュー40周年を機に編纂されたムック。
そういえば、そもそも1977年発行、プレイガイドジャーナル社版の『バイトくん』巻末の村上知彦の解説において、いしいひさいちはすでに「作品に対して思い入れはない」「テクニックだけで描いているのだから深よみしてほしくない」と自らを裁ち捨てるような厳しいコメントを残していたのだった。いしいひさいちを語るには、彼の文体、描線を語るところから始めなければならない(その意味でもとり・みきの手法は正しい)。
24日の朝日新聞朝刊社会面によると、あのファド歌手
【ところでオイ。 総理はだれがやるんだ。】