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カテゴリー「コミック(作品)」の436件の記事

2018/10/29

〔メモ〕 『バーナード嬢曰く。』(第4巻) 施川ユウキ / 一迅社 REXコミックス

Photo_2〔短評〕でさえなくてただの〔メモ〕ですみませんね、あの『バーナード嬢曰く。』の新刊、出ていました。8月かな。
さっき本屋でたまたま見つけるまで気がついていませんでした、すみません。
作中で紹介された本のいくつかを「そんな本あったのか!」「スルーしてきたがやはり読むしかないか!」とあれこれAmazonで注文しなくちゃいけないので、今日はとりあえずひとつ前の3巻より小ネタ中心でイマイチだったかなとかでも59冊目の【渚にて】の話はよかったなとかいちいち感想書いているヒマがないのでお知らせだけ。すみませんすみません。

〔短評〕 『アレンとドラン』(現在2巻まで) 麻生みこと / 講談社 KC Kiss

Photo引き出しの多いリーガルコメディの快作『そこをなんとか』(最新は14巻)、その麻生みことの新作。

主人公はマイナー映画をこよなく愛する田舎出身サブカル女子大生の林田(リンダ)。
登場して3ページめの吹き出しが

  立川で
  爆音フランソワ・
  オゾン特集上映が
  今日までなんだよ

なんですかそれ。なので当然林田は浮いて沈んで今日もぼっち。ところが隣の部屋に──というそこは伝統の少女マンガ、お約束の展開。もちろん隣にイケメンが住んでいたからといって昨今の少女マンガはすぐに仲良くなったりはいたしません。

ただ、マイナー映画のあれやこれを香辛料にするにはいくらなんでもマンガは非力、アレンが誰でドランが何で、林田がなぜそれらに魅かれるのか、魅かれるそれらはどんなものなのか、それは『アレンとドラン』を丁寧に読んでもカケラも伝わってこない。

だからマイナー映画好みというのは周囲から引かれるマイナーな素材ならなんでもよかった、実際1巻では通常の会話の中にいきなり

  『ゴーストワールド』の
  イーニドっぽくて

とかあったものが、2巻では早くも林田がサブカル女子であるという設定などほとんどあってもなくても大差なし。
とことん弁護士という仕事、法律相談というテーマにこだわった『そこをなんとか』の求心力、その重力に対し遠心力として働く恋愛感情のあれこれに比べれば作品として弱い印象は否めない。
その分、1話完結でどこで読み終えても平気な『そこをなんとか』に比べ、登場人物たちの心理葛藤、言葉の殺陣がキレッキレで大人向け少女マンガとしての精度の高い『アレンとドラン』は主人公と隣室の青年江戸川、また大学ゼミの教官との今後がどちらにどう転がろうが楽しみ楽しみ楽しみ。

2018/10/22

『ハーン ─草と鉄と羊─』(現在3巻まで) 瀬下 猛 / 講談社 モーニングKC

Photo昨夜のNHKスペシャル 平成史スクープドキュメント 第1回「大リーガーNOMO ~“トルネード”・日米の衝撃~」はよかった。

日本プロ野球機構に抗い、日本人選手として初めて大リーグに挑んだいきさつ、大リーグでの(2度のノーヒットノーラン含む)活躍の軌跡、それらももちろんだが、久しぶりに見る野茂のトルネード、投球フォームとその球スジの見事さに圧倒された。

闘いの瞬間を切り取れば、その勝者は美しい。
今回のような当人を招いたドキュメンタリーも悪くはないが、野茂がノーヒットノーランをしてのけた2つの試合をそのまま放送してくれないものだろうか。それは百万の言葉より何より雄弁な作品になるに違いない。

そこで、『ハーン ─草と鉄と羊─』だ。
本作はモンゴルを統一し、アジアに一大帝国を築いたチンギス・ハーンが、実は兄・源頼朝に追われた義経である、との伝説をもとにした記録である。
モンゴルの英雄が実は日本人、などと、失礼といえば失礼千万な設定であるが、1巻最初の40ページばかりのスピード感をもってそこを突破し(もちろん、日本人にとって都合よく、ということだが)、あとは草原の闘争を描くばかり。

作中、義経=テムジン=チンギス・ハーンは概ね寡黙であり、感情移入しやすいキャラクターとは言い難い。なぜ大陸を統一しようと考えたか、など、唐突、わからないことだらけだ。

思い起こせば野茂も寡黙で、だから近鉄をやめて大リーグに挑戦した当初は一部のマスコミを除き、なかなか共感を得られなかった。野茂が圧倒的な人気を得たのは、ドジャースの一員として先発し、あのトルネードをもって大リーグの強打者をばったばったと三振にしとめた、その試合からだ。
だが、野茂は本当に「共感」を得ただろうか? イチローも松井も大谷も、応援はできたとしても、「共感」などという甘やかなつながりのの外にい続けているのではないか。

『ハーン ─草と鉄と羊─』も、今のところはただ、テムジンの闘いを見るべき作品である。
次の単行本に収録されるかどうかわからないが、先週のモーニングNo.46掲載の回では、テムジンは一度も言葉を発せず、腕と拳だけで自軍を指揮し、仇敵タイチウトをなぎ倒すにいたった。

野球と同じ。それがエースの仕事だ。

2018/10/11

〔短評〕 『恋する母たち(3)』 柴門ふみ / 小学館 ビッグコミックス

3現在女性セブン(小学館)に連載中の柴門ふみ『恋する母たち』は、息子の進学高校落第危機をめぐって知り合った3人の母親たちが、それぞれ結婚生活や夫以外との恋愛関係に苦しむ──つまるところこぞって「不倫」の話であり、その絵柄の荒っぽさ含め、やや引いてしまう面は否めない。

もともと柴門ふみの線描、人物像、ストーリ展開、恋愛観などなどには、出世作であるヤングマガジン『P.S. 元気です、俊平』連載当初(1980年頃)より、なんというか体力的についていけないものを感じていた。

ただ、苦手に感じる一方で、作中にあふれるバイタリティ、スピード感には常に圧倒されてきた。振り回され、惹かれざるを得ない。恋愛描写のプロの凄み、とでも言うか。

『恋する母たち』のそれぞれの母たちの恋愛対象、舞台にしても、隅田川河畔で落語家とデート、与論島で自分を捨てた夫と再会、都心の近代的なオフィスビルで若い部下から告白などなど、今週からTVドラマが始まっておかしくない。
表紙には小さく【koi haha】とヒットを前提とした愛称まで印刷済みだ。無造作にみえて周到なのである。

(以下、おまけ)
ウィキペディアの柴門ふみの項には
  大学卒業後の1979年に、「少年マガジン増刊号」にて「クモ男フンばる!」でデビュー
とある。しかし、プリティプリティ(せぶん社)1978年9月号にて「いちばん寒い僕の冬」、10月号に「ペルシャ馬にまたがって…」というシリアスな作品がすでに発表されていたことはもっと知られていてもよい。
なお、この(4号で廃刊になった)プリティプリティには『雲雀』や『ささなみのアケロン』、『グッドラック』などの単行本を残した御茶ノ水女子大漫画研究会初代会長の湯田伸子が寄稿しており、いわば大島弓子や萩尾望都ら24年組の系譜にあった雑誌なのだが短命に終わってしまった。残念でならない。
Photo

2018/10/08

〔短評〕 『雨柳堂夢咄 其ノ十七』 波津彬子 / 朝日新聞出版 Nemuki+コミックス

Photo雨柳堂夢咄』新刊、2年半ぶりの出来。
あとがきによると、収録された一番新しい作品でも2年前にはすでに描かれていた、なぜ2年半もかかったかは出版社の事情でよくわからない、とのこと。出版社を責めるべきか、この出版不況の時勢によくぞ出してくれたと讃えるべきか。

作品について言うべきはない。変わらずの品位、静かに泣ける、静かに笑える。

冒頭の「斜陽の家」、予想外の展開に驚きつつ、ふと思いついた。
『雨柳堂夢咄』のいくつかは、新作落語の素材に使えるのではないか。それも、もしかするとものすごく高品質な噺の。
猫たちが三味線ひいて人を招く「冬の宴」あたりも出来そうだ。

亀戸、梅屋敷あたりで客案内している若手の噺家さん、どうだろう、一度試してみては。

2018/09/03

ヒラが浮き足立つなよ 『ハコヅメ ~交番女史の逆襲~』(第3巻) 泰 三子 / 講談社 モーニングKC

3前回紹介して間がありませんが、待望の新刊が発売されたので取り上げておきますね。

3巻では、女子中高生を狙う性犯罪者を追う連作が、主人公から脇役まで全員全ページ全コマキレキレッで、そりゃーもうものっすごい出来です。

ことに、合同特別捜査本部の描写がソリッドでピリピリきます。

  ヒラの刑事は
  ホントよく
  しゃべるな

  その決定打を
  見つけるのが
  てめぇらの
  仕事です

に続く本部捜査一課班長と捜査員たちのやり取りがたまりません。
働き方改革? それどんな食いもんですか。甘いの?

2018/08/27

わかるわけ ないだろ 『フラジャイル 病理医岸京一郎の所見(12)』 原作 草水 敏、漫画 恵 三朗 / 講談社 アフタヌーンKC

12苛烈さが加速する。
手に負えないほど面白い。

12巻では2つの病理診断が描かれる。いずれも、、その所見が直接、患者の生死にかかわるものだ。

医療マンガ数あれど、「医者は人の生き死にを扱う」という事実を抜き身で描く作品は案外少ない。
フラジャイル」は、人が面白がってはいけない領域を描いているに違いない。

逆に言えば、だからこそ面白い。読む価値がある。

歪んだ見方だと断った上で書いておこう、ここには(病理医に限らず、あらゆる)仕事の一つの真実が描かれている。
ある種の仕事は、ののしり合い、相手を叩き潰し、自身の体を壊すまで頑張っても、頑張っても、足りない。届かない。
それでも諦めない。答えを出し続ける。
そういうことだ。

2018/08/20

舌、出さない。 『ののちゃん全集⑪』 いしいひさいち / 徳間書店 GHIBLI COMICS SPECIAL

Photo終業式、校長先生の挨拶。
「水の事故に気をつけましょう。」
その後のクラス会、藤原先生。
「水の事故に気をつけましょう」
帰宅後、母・まつ子、学校からの注意事項を読む。
「『水の事故に気をつけましょう。』」
そこでののちゃん、
気をつけるからどこか、
水の事故に気をつけに行きたーい
。」

……ほとんどウィトゲンシュタインの問答集である。

朝日新聞 2016年1月1日~2017年12月31日掲載の全711作。
アルマイトの弁当箱より分厚い、重い。
その上、1作1作の密度が上記の如し。さらりと読み流すことなどできやしない。

いしいひさいちについて書きたいことは山ほどあるが、過去書いたことにダブりそうだ。こちらをご参照ください。

なお、本11巻には、キクチ食堂での食堂ライブ、市立南高校の文化祭ライブなど、あの吉川ロカも幾度か登場している。ファンは必ずチェックのこと。

2018/08/02

『ハコヅメ ~交番女史の逆襲~』(現在2巻まで) 泰 三子 / 講談社 モーニングKC

2カバーによると作者は「某県警に勤めること10年」とある。安定・安心の公務員の身分を捨てて専業マンガ家を選んだのだ。ほとんど犯罪である(
内容はというと、現場経験に基づくブラックな警察署勤務の本音、裏話を愚痴愚痴と……これが実に面白い。

作画はお世辞にも巧みとは言い難く、とくに若い女性警官が「目」で区別がつかない(同じ制服を着ていると、髪型やセリフで人物を区別しなければならない)。しかもその「目」の外側に余計な線があって、怒っている、嘆いているの区別がつきにくい。さらにコマ展開にリズムがなく……
とかとか、そんな弱点をテイヤっとちゃぶ台返して余りある魅力が本作にはある。

マンガは「絵」によると同時に、「言葉」による創作物だと思い知らされるのが、こんな作品に出会ったときだ。

  ちゃんと
  言わなきゃ
  いけないこと
  あるでしょ

とか

  とても
  きれいな
  ご遺体
  でした

という、ただこう引き写してしまえばなんてことのないセリフが、作中でどれほどの重みを伝えるか。

(連載を毎号楽しみに読んでいるので知っているのだが)8月末発売予定の第3巻も間違いなく大切な1冊になる。確約する。

2018/07/23

『からかい上手の高木さん』(第9巻) 山本崇一朗 / 小学館 ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル

9夕飯のレタスとトマトのサラダを取り分けていたら、次男(23歳、大学院生)が、
「そういえば、新しいの、出てたね」
「9のこと?」
「そう。買ったけど、読む?」
「ごめん、帰りに、駅で買った」
「3も?」
「3は買ってない。あとで貸して」
「おけ」

そうしたら、妻が怒った。
「あんたたち、わけわからんことばかり話してないで、早く食べてフロ入りなさい」
「はい」
「はーい」

ちなみに、9とは、山本崇一朗『からかい上手の高木さん』の新刊。3はそのスピンアウト(後日談)、稲葉光史『からかい上手の(元)高木さん』第3巻のこと。
我が家では父子で同じマンガをせっせと買いそろえているのであった。ごめんね、妻。

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