ほんならウロボロス 『本なら売るほど』(現在3巻まで) 児島 青 / KADOKAWA HARTA COMIX
本好きが高じて町の古書店を継いだ青年と本を愛する人々の心の綾を縦横に織り上げる短篇集。
帯にもあるとおり、「マンガ大賞 2026」大賞、『ダ・ヴィンチ』 BOOK OF THE YEAR 2025 コミック部門 第1位、『このマンガがすごい! 2026』 オトコ編 第1位と破竹の各賞受賞、書店店頭でも各巻平積みのベストセラーとなった。
二つのことを書きたい。
一つは、素直に、良い本である、と言うこと。
古書店「十月堂」に立ち寄る若者、あるいは老人たちをめぐる物語はあるいはスタイリッシュに爽やか、あるいはモノトーンに絶望的で、本好きはもちろん、そうでない人にも本当に、ぜひとも読んでほしい。
もう一つは、この、紙の本が絶滅に瀕しつつあるこの時代に古書店を舞台とする、そのことによる閉塞感だ。
古書店で扱われる本は(言うまでもなく)古書であり、いかに循環されたとてやがて読み手とともに古びていくのが世の摂理である。さらに1巻ですでにたびたび描かれているように古書の多くは破棄されるのがことわりだ。
上流に新刊を吐き出す版元、取次、書店がなければいずれ収束していくしかない。
実は、新刊書店を舞台とする『店長がバカすぎて』についても、展開の面白さ/つまらなさとは別の尺として近年の書店の実情が描かれない疑念があった。この本が好き、この作家が、と本ばかりを話題にして、作中で6年が経過してもその業界全体のサビレが描かれない無頓着さ。
そして、『店長がバカすぎて』や『本なら売るほど』のように紙の本の界隈を描く作品が売れれば売れるほど、紙の本はシッポを呑み込むヘビのように書き手と売り手と読み手が同じ円の中に縮こまっていく。










