『こどもの頃のこわい話 きみのわるい話』 蛙坂須美 / 竹書房文庫
あた、あたし、しらないおとこのひとが
──男の人?
おんなのひと、かもしれない、こうえんであそんでいたら、このほんをあげるって
──その文庫本をくれたんだ
ちかごろの、じつわ?かいだん?のなかではおもしろいって
──読んでみたの?
あた、あたし、こわくて
──読んでみたの?
こわいの、どのおはなしもこどもがいなくなったり、ひどいめにあったり
──そうだね、ここしばらくの実話怪談の中では珍しく一つひとつの話がちゃんと黒い終わり方をして、誰かが死んだり、行方不明になったり、気持ちの悪い話が多いよね
こんなこわいほんはよみたくないっていったのに、いらないっていったのに
──でも読んでみたんだ
ほんの、じが
──黒い文字がうぞうぞと
ほんから、あた、あたしのてに
──黒い文字がうぞうぞと腕から胸に、胸から首に
あたし、あたし
──因果応報因果応酬、己のなした業は捻じれてまた己に祟る
てが、まっくろに
──年寄りが子ども服着て子どものふりして子どもらをたぶらかし、苛み、嬲り、屠る、その所業許されようか
あた、あた、のどに、あぐ、あぎ
──滅せよ
あぎゃ、あああああ
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