『店長がバカすぎて』 早見和真 / ハルキ文庫
少し前のベストセラー。
無神経なタイトルに読む前からイヤな予感がしていたのだけど、未読の棚が片付かないのでともかく消費(失礼)。
主人公は(おそらく四年生大学を卒業後)就職活動がうまくいかず、都内の書店の契約社員として雇われる。激務だが薄給、お客からのクレームは相次ぎ、推しの本は取次からまわしてもらえない。
・・・気の毒に思わないでもないが、主人公は毎日店長の所業にただ苛立つばかり。みずから正社員になろうとも職場を改善しようとも店長の長い朝礼を回避しようともせず、少なくとも作中で6年間をほぼ無為に過ごす。
この手の読み物のご多分に漏れず、最終章にはさまざまな幸運が主人公を待ち受けているが、、、
結局主人公は最初から最後まで「都合のいい契約社員」であり、終盤にいたっても主人公のスタンスは「白馬に乗った王子様(のような都合のよい出来事)」を待つばかり。
同じ職場モノでも『これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~』で森若さんはディフェンス、オフェンスともにきちんと自分の処理能力の中で最善を尽くすし、同じベストセラーでも『成瀬は天下を取りに行く』(宮島未奈、新潮社)シリーズで成瀬は女であること、若輩であることにみずからの限界、壁を設けない(気持ちいい!)。
本の中と実社会は別物、されどさりながら『店長がバカすぎて』は社会に対して消極的なサラリーマンがただ愚痴をこぼす、先の詰んだ話としか思えない。おとぎ話なエンディングなど普通はまず訪れないので若い人は決して本作をマネしないように。
ちなみにタイトルだが、もしこれが『契約社員がバカすぎて』だったらそもそも発行できていただろうか。
ハーフパンツのすね毛問題もそうだけど、おっさんについてなら何をどんなふうに言ってもいいという風習は少し考えたほうがいい。その天秤に乗っている限り女性は平等に扱われることがない。
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