『あらあらかしこ(3)』『ねこの夢ひとの夢』『鸚鵡』 波津彬子 / 小学館
波津彬子(祝画業45周年!)の作品は書棚に並び置けばそれなりにたくさん出ているのだが、週刊誌の連載マンガのようにパンパン連発で書店に並ぶわけではない。
論より証拠、一番人気(おそらく)の『雨柳堂夢咄』など、2021年の2月に其ノ十八が出て以来5年待っても其ノ十九が出ない。
それが、どうしたことか、この2月、4月には
『あらあらかしこ』の第3巻
『ねこの夢ひとの夢』
『鸚鵡』
の3冊が息継ぐ間もなく発売されて、書庫はすっかりあやかしと猫の気配で和の色尽くしだ。
実は、よくわからず読んでいるのではないかという疾しさはある。
ただ椿の一輪差しをするのに
開く前のを
切らんならんよ
葉は五枚ね
(『異国の花守』)
とかいった大切な言葉をあるいは素通りしているやもしれぬ。
それでも、波津彬子を読むのは楽しい。
『あらあらかしこ』なら、謎の女性から届く不思議な手紙、それを首を傾げながら書き起こす朴訥書生の深山杏之介。それを随筆にまとめ上げる小説家・高村紫汞、それをマンガに仕立てる波津彬子。
あやかしのリンクがメビウスの輪のように結ぼれて、これは穏やかなれど波津彬子の密かな代表作とすべきかもしれぬ。
機知の掬うほろ苦さと静かな切なさに溢れた短編集『ねこの夢ひとの夢』『鸚鵡』は言うにおよばず、桜は雨に散りぬるを。
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