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2026年4月の4件の記事

2026/04/21

姫ヶ嶽 海に身投ぐる いや果ても 『愛媛怪談』 三好一平 / 竹書房文庫

Photo_20260421211101 当ブログでも過去『茨城怪談』『埼玉怪談』『千葉怪談』『京都怪談 神隠し』『京都怪談 猿の聲』と取り上げてきた竹書房のご当地怪談シリーズ、北はさいはて青森・北海道、南は神の国出雲・修羅の国北九州・琉球と、全国津々浦々を恐怖に染めてきたものだが、それが、ついに! 四国上陸! 『愛媛怪談』出来!

著者の三好一平氏は愛媛県南宇和郡愛南町の出身だそうで、これは愛媛県を右上に翔ぶ獅子の形とみなすと後肢のあたり(南予)。
そのためか、どうしても愛南町、宇和島市、西予市、伊方町(獅子のしっぽ)、八幡浜市、、、と南予の怪談の割合が多く、またそれらお国の神社や祭りごとの紹介がつまびらかで地元ならではの筆運び。
中予にしても伊予市、砥部町あたり、南予寄りといえば南予寄りの怪談が目立ち、要は獅子の頭から前肢にあたる今治市、西条市、新居浜市、四国中央市の濃密さが今ひとつ。

・・・何の話かといえば、漫画家矢代まさこ氏と同じ伊予三島市(現・四国中央市)に生まれ育った烏丸としては郷里の話題がやや少なくて多勢に無勢、肩身が狭い。太鼓台かついで酔いしれる亡霊とかはいないものか。

無勢はさておき、何度か書いた「戦乱の世、城が攻め落とされた折、城主の息女年姫がこの崖から身を投げて、のちその霊が現れる」という四国中央市川之江城の「姫ヶ嶽」が取り上げられており、これが活字になったのを見るのは嬉しい。小学校の狭い世界の噂話というわけでもなかったようで60年ぶりにモヤモヤがすっきり。
ちなみに、前回も書いたが、この川之江城、1970年代のUFOブームの折には「UFOの基地」では、と話題になった場所でもある。
その時点ではまだ現在の天守はなく、ちょっとした動物園の設営された「城跡」公園にすぎなかったのだけれど。
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『愛媛怪談』に話を戻そう、取材された怪談の一つひとつはそうエキセントリックに神経を逆なでするものではなく、まず神社の売店に売られる地域の民話本に載っているような伝承を紹介し、それにかかわる(現在の?)怪奇現象を聞き語る、というのが各篇の基本ペース。
視線を感じる、後ろで声がする、影がついてくるといった話が多く、要は愛媛の怪異は「振り向いてはいけない」「拾ってはいけない」ようだ。
ただし、西条市を舞台とした「夏の底」、県内某所(非公開)の「春」の2篇は空気の冷える、ある意味本格的な「怪談」であり、見たらいかん、うかつに読んだら夜、寝られん。あかんで。





2026/04/06

『あらあらかしこ(3)』『ねこの夢ひとの夢』『鸚鵡』 波津彬子 / 小学館

3_20260406190401 波津彬子(祝画業45周年!)の作品は書棚に並び置けばそれなりにたくさん出ているのだが、週刊誌の連載マンガのようにパンパン連発で書店に並ぶわけではない。

論より証拠、一番人気(おそらく)の『雨柳堂夢咄』など、2021年の2月に其ノ十八が出て以来5年待っても其ノ十九が出ない。

それが、どうしたことか、この2月、4月には
  『あらあらかしこ』の第3巻
  『ねこの夢ひとの夢』
  『鸚鵡』
の3冊が息継ぐ間もなく発売されて、書庫はすっかりあやかしと猫の気配で和の色尽くしだ。

実は、よくわからず読んでいるのではないかという疾しさはある。
ただ椿の一輪差しをするのに
  開く前のを
  切らんならんよ
  葉は五枚ね
       (『異国の花守』)
とかいった大切な言葉をあるいは素通りしているやもしれぬ。

それでも、波津彬子を読むのは楽しい。
『あらあらかしこ』なら、謎の女性から届く不思議な手紙、それを首を傾げながら書き起こす朴訥書生の深山杏之介。それを随筆にまとめ上げる小説家・高村紫汞、それをマンガに仕立てる波津彬子。
あやかしのリンクがメビウスの輪のように結ぼれて、これは穏やかなれど波津彬子の密かな代表作とすべきかもしれぬ。

機知の掬うほろ苦さと静かな切なさに溢れた短編集『ねこの夢ひとの夢』『鸚鵡』は言うにおよばず、桜は雨に散りぬるを。

2026/04/02

『夜鷹ふたたび』(第1巻) イズミダフユキ / 講談社 モーニングKC

1_20260402185901 伝説の殺し屋“夜鷹”が業界から姿を消して8年。
現在、“それ”は現役当時より18キロ増えたズブズブのヤニカス・酒カス・家賃滞納のクズニートと化していた。

というわけで待望の単行本第1巻! 嬉しい!
ちなみに1冊の8割がたはクズ。クソ。カス。
それが、いざ


  (得も言われぬ惨劇)



こーはいくんも“しごでき”の篠田さんも公安の高田さんもみんないい味出してスキがない。
ダラなのは“夜鷹”だけ。

単行本がやっと出た! ところで続刊がヤニに手が出そうなほど待ち遠しい。
そんなクズ、もとい、マンガはそうはない。
さあ、“業界”と一緒に僕だち読者も“夜鷹”狩りだ。うぷ。



『見える子ちゃん』(14巻) 泉 朝樹 / KADOKAWA メディアファクトリー

14_20260402190501 これでもかこれでもかと説明されない「不穏」ばかりを練り固めたここしばらくのお話に比べて、『見える子ちゃん』14巻は(くどいようだけど比較すれば)明るくて楽しい。
頼りになる黒服のおともに守られて登校。ゴキブリのお化けも平気。
父母のなれそめ、屋上のタコさんウィンナー。
家族で動物園、カバ、カバモドキ、雄ライオンにまたがるアオヤマさん。

とりま、どの場面もバケモノだらけ。

ところでカラー表紙の四谷みこ(それとも八雲透子?)の眸は遠くを見て、いつもすてきすてき。
今巻ならカラー口絵。

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