『怪物の森 未解決事件捜査官ヴァン・リード』 ジェス・ロウリー、北 綾子 訳 / 新潮文庫
新潮文庫は王道を貫く。
文芸大作なら文芸大作、長編ミステリーなら長編ミステリー、ノンフィクションや実験的な作品ならそれなり。
この信頼は(個人的に、だが)この60年変わらない。
その新潮文庫の長編ミステリーを、久しぶりに読んでみようと思った。
「42年前に失踪した少女はなぜ今生き埋めにされたのか」
「未解決事件捜査官と科学捜査官が挑む!」
この帯の惹句で、つまらないわけがないではないか。
主人公のヴァンはカルト集団で虐待されて育ちトラウマに苦しむ捜査官、生き埋め事件と42年前の失踪事件とのかかわりは。
・・・読了後。
面白い、面白くないはさておき、これは、「ミステリー」ではない。
しいていえばB級映画に向いた「サスペンス」の一種であることに間違いはないが、
むしろいわゆる「バカミス」の類ではあるが、書き手に「バカミス」の自覚はないようだし・・・
そこでようやく気がついた。
本書のカバーや帯に散る長いタイトル、煽り文、あらすじ、著者紹介、巻末の吉野仁氏による解説、さらには折り込まれた新刊案内の紹介文にいたる、さまざまなテキストの中に、実は「ミステリー」」とは一か所とて紹介されていないのだ。
本書をして「ミステリー」としない、新潮文庫の変わらぬ矜持を見た。
でも、「バカミス」なんだけどね。
« 『新九郎、奔る!(22)』 ゆうきまさみ / 小学館 ビッグスピリッツコミックススペシャル | トップページ | 『ハウスメイド』 フリーダ・マクファデン、高橋知子 訳 / ハヤカワ文庫 »
「ホラー・怪奇・ファンタジー」カテゴリの記事
- 『こどもの頃のこわい話 きみのわるい話』 蛙坂須美 / 竹書房文庫(2026.06.18)
- 姫ヶ嶽 海に身投ぐる いや果ても 『愛媛怪談』 三好一平 / 竹書房文庫(2026.04.21)
- おお、まみあな 『旅情夢譚』 岡本綺堂 / 光文社文庫(2026.03.23)
- 『ハウスメイド』 フリーダ・マクファデン、高橋知子 訳 / ハヤカワ文庫(2026.02.19)
- 『怪物の森 未解決事件捜査官ヴァン・リード』 ジェス・ロウリー、北 綾子 訳 / 新潮文庫(2026.02.16)
「ミステリ・サスペンス」カテゴリの記事
- 『一次元の挿し木』 松下龍之介 / 宝島社文庫(2026.03.02)
- 『ハウスメイド』 フリーダ・マクファデン、高橋知子 訳 / ハヤカワ文庫(2026.02.19)
- 『怪物の森 未解決事件捜査官ヴァン・リード』 ジェス・ロウリー、北 綾子 訳 / 新潮文庫(2026.02.16)
- 時計を巻き戻す 『ロイストン事件』 D・M・ディヴァイン、野中千恵子 訳 / 創元推理文庫(2024.12.23)
- 『ストーンサークルの殺人』 M・W・クレイヴン、東野さやか 訳 / ハヤカワ文庫(2024.08.22)
« 『新九郎、奔る!(22)』 ゆうきまさみ / 小学館 ビッグスピリッツコミックススペシャル | トップページ | 『ハウスメイド』 フリーダ・マクファデン、高橋知子 訳 / ハヤカワ文庫 »


コメント