『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』 三宅香帆 / 角川文庫
書評ブログなどやっていると他の書評サイトはもちろん、Amazonのカスタマーレビュー、新聞・雑誌の書評欄、書籍にまとめられた書評集などなど、いずれもありがたい情報源であり先生、先輩であり、ともに歩む同士でもある。人によって主義主張、趣味嗜好が異なるのはハナから当たり前で、それも含めていつも大切な参考資料とさせていただいている。
『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』は・・・すごいタイトルだが、あまりこのタイトルにこだわる必要はなさそうだ。
実際、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』を筆頭にフィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』、夏目漱石『吾輩は猫である』、カミュ『ペスト』、三島由紀夫『金閣寺』・・・と続くラインナップはなるほど「(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説」であり、それらを怖じずに読むにはどうすればよいか、どう読めばよいか、という著者の切り口はわからないでもない。
さらに、たとえば『カラマーゾフ』については「あらすじを調べて読む」、『グレート・ギャツビー』なら「大きい本屋か図書館に行き翻訳の1ページ目を読み比べ、いちばん読みやすい翻訳で読もう」等、具体的なお作法も大きな文字で教えてくれて、それを手助けに読み進められる読者も少なくないだろう(ただし『ペスト』の「小説には作者の思想が隠されていると思って読む」「メタファーに潜む思想を味わう」というアドバイスには、かえって腰が引けそうな気がしなくもないが・・・)。
そしてそうこうするうちに終盤、綿矢りさ「亜美ちゃんは美人」(『かわいそうだね?』所収)、カフカ「お父さんは心配なんだよ」、村上春樹「眠り」(『TVピープル』所収)、あたりとなると・・・あれれ? 1冊の本としての目的がなんだかよくわからなくなる。
そのあたりは著者も隠す気もないようで、あとがきで「『小説って面白いんだよ! ほらー!!』と好きな小説について語りたいだけ語る本でありました」とネタばらし。
・・・そんなこんなも(烏丸にしては珍しく)穏やかな目で許してしまうのは表紙の可愛らしいイラストがなんだか遠い昔の誰だったかを思い出させるから、ではない。ないんだからね!
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