乱評 『最後のレストラン【ダンテ】』(第1巻) 藤栄道彦 / 新潮社 BUNCH COMICS
長いこと使っていれば歯の根元に膿が溜まることもある。
漫画家だって同じ作品を続けていればペンの付け根にタコができる、膿が溜まる。
人気連載のあとに「なぜこんな」と首を傾げたくなる微妙な作品、ぎしぎしアンバランスな作品が発表され、すぐに打ち切られて忘れられていくのはそういうことなのではないか。
もちろん、プロ中のプロたる漫画家ならそんな作品を描いたことなどおくびにも出さず、勇躍、新たな人気連載を開始する。
・・・藤栄道彦の心持ちなど、わかるわけがない。
わかるわけなどないが、この作品は長年『最後のレストラン』を連載していた藤栄の、セルフメディケーションな踏み外しか、と思う。
そうでなければ──歴史上の人物が次々とレストランを訪れて最後の食事をする、という前作の設定をそのままいかすのはまだしも──シェフの貌を前作から流用し、さらに主人公に「小さい頃お母さんが自殺未遂で家に放火し」その結果、全身に大きなヤケドのあとが目立つ、そういう少女を配する意図がよくわからない。彼女を慰めるに美醜の感性を失わせ、あげく車に轢かれた猫の死体を素手でビチャビチャと・・・
こういう作者のパーソナルな作品について、どうこう評してもしょうがない。
痛みは痛みとして飲み込み、夕まぐれに波が静まるのを待つばかりだ。



