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2024/06/06

『行動心理捜査官・楯岡絵麻 ホワイ・ダニット』『同 ラスト・ヴォイス』 佐藤青南 / 宝島社文庫

Photo_20240606184901 油断していたら『行動心理捜査官・楯岡絵麻』シリーズも11巻めの『ラスト・ヴォイス』で最終巻。

> 行動心理学を応用して容疑者の表情や仕草の微妙な動きから嘘や隠し事を見破る警視庁捜査一課巡査部長 楯岡絵麻、通称「エンマ様」。
> 犯罪者に対話をしかけ、嘘をつく際の大脳辺縁系の反射──マイクロジェスチャーや微細表情を見極めることで犯行を暴く

↑は前回紹介した書き込みからのコピー&ペーストだが、1巻から最終巻までこの説明で通せるのがとても気持ちよい。

というのも、こういったミステリ、サスペンスのシリーズものでは、(とくに途中でドラマ化されたりすると)お話がどんどん肥大化して、敵の背後に捜査の手の届かぬ巨悪が現れたり、当初の敵が味方に回ってみたり、警察官僚の頼もしいバックアップが得られたり、そうこうするうちに連作短篇集だったものが長編中心になってしまったりする。

必ずしもそれがまずいわけではないが、短篇のひきしまった設定、文体に魅かれて付き合い始めたシリーズがワンアイデアを引っ張る弛んだ長編中心になってしまうのは悲しい。

実は『行動心理捜査官・楯岡絵麻』も途中で妖怪レベルの強敵が登場したり、いくつか長編がはさまったり、と、拡大再生産の道に傾いてはいたのだが、10巻めの『ホワイ・ダニット』で初期を思わせるタイトな短篇集に戻り、その勢いで最終巻『ラスト・ヴォイス』を走り抜けた。

この作者の力量ならまだしばらく続けることも全然無理でなかったろうと推察する。しかし、楯岡絵麻の吐き捨てる

  「私を……誰だと思ってるの」

のセリフで綺麗に閉じたことで好もしいシリーズとして記憶に残りそうだ。残したい。

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