人となり 人でない 『トラックドライバーの怪談(FIRST GEAR)』 ぞうむしプロ / PICK UP PRESS
> 元・トラックドライバーの著者が、自身の経験や聞いた話を題材に物流業界の内情を描いたホラー漫画『トラックドライバーの怪談』。
> 人気サイト「オモコロ」で掲載された後、多数のネットニュースで取り上げられ、SNSでも人気を博してきた本作が待望の書籍化。
> ゾッとするような怪奇現象から、一歩間違えたら大惨事の恐怖体験まで、今まで発表された珠玉の51エピソードを収録!
しまったなー。
参考になるかとAmazonの書籍紹介見に行ったら、これより上手くまとめる自信もないし、これ以上書き足すこともない。
とにもかくにも↑のような本です。
あとは、おまけのようなことをいくつか。
B6判、青年マンガに多いサイズですが、全ページにカラー印刷を用いたためか、多少高価ではあります(税込2,090円)。
そのカラー印刷ですが、モノトーンの作画の中、キーとなる麦茶と盆だけに色付けされているなど、なかなか巧い、そしてときどきぎょっとする技法となっています。
いわゆる怪談、怪奇現象と、最近話題の「ヒヤリハット」の危うく大事故!なリアルトラブルとが並んでおり、後者はたとえば「タイヤの歯止めをしていなかったらトラックが動き出し、あわや大惨事」「歯止めをしたらしたで、そのまま動かすと歯止めが飛んで大変な目にあいかけた」みたいな話。
前者は、納品先の道案内に従ったら海に落ちるところだった(もちろん着信履歴は残っていなかった)とか、人気のないPAでにこにこ笑いながらついてくる若者がいて、話しかけようとすると知らない人に「『あれ』に話しかけたらダメなんだわ」と背中を押された話、などなど。
産廃処理場で廃棄分を降ろして帰ろうとすると大きな音がしてトラックが動かない、見に行くと後輪とフェンダーの間にマネキンがはさまって泥が血のように・・・などという前者後者の間みたいな話もあり。
そういうヒヤッとする話、ゾッとする話が並んでいるにもかかわらず、通して読んでとても気持ちがいいのは、ドライバーの皆さん一人ひとりが不器用なまでにモノを届けるという仕事に生真面目で、その中で、あるいはそれゆえに事件が起こるということ。
どしゃぶりの雨の中、ベンチに座り、人形の赤ちゃんを抱いた亡霊(と思われるもの)と出会い、「ちょっ、赤ん坊が濡れ…」と駆け寄ったN運輸のTさんは、首をかしげつつ、その亡霊がいなくなったベンチに傘を置いていく。
その傘の赤が、いいのです。
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