鬼女まとめ~ 『夫の骨』 矢樹 純 / 祥伝社文庫
二年前に他界した血縁のない義母を追うかのように昨年山で事故死した夫。その遺品の小さな桐箱に収められた乳児の骨。これはいったい誰の子のものなのか。夫の死は本当に事故死だったのか・・・(「夫の骨」)
看護師の妻、夫の不倫疑惑、養育費、嫁姑問題、親の痴呆・・・
2ちゃんねる(最近は5ちゃんねるというらしい)やそのまとめサイトでもお馴染みの夫婦、家族間のトラブルをテーマに、それを果物ナイフでさくさく切り裂いて天日に裏返したような作品集。
いずれもなかなか面白く、つぶぞろい。
最後の1行のどんでん返しで暗澹たる気持ちになるものもあれば、意外やハッピーエンド?もある。
「夫の骨」という絶妙なタイトルに見られるように作者の筆は全体にテクニカルで、その分、説明を省きすぎて登場人物の来し方行く末が今ひとつわかりにくいものもなくはない(「絵馬の赦し」「ダムの底」など)。
ふと思いたったこと。こういった夫婦、家族間の問題というのは、当人が生真面目に、正面からあたってしまうと悲劇、修羅場になってしまう。逆に、各人が適当に流してしまえば相当な修羅場もそれなりにおさまってしまうのではないか。
この1冊にこれでもかと描かれるサスペンスは、いずれも登場人物たちが何かを大切にしようとしたがゆえに起こったものであり、逆に事実が明らかになってからの彼らの諦め(あるいは怠慢?)が、事態を読み物として読める程度のものにしてくれている、そんな気もする。
要は、エンターテイメントとして、ほどよいのだ。
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