『新・トルコで私も考えた 2020』 高橋由佳利 / 集英社クリエイティブコミックス
『トルコで私も考えた』の新刊は、わりあい初心に戻って、というか、トルコ旅行&滞在記、さまざまなお店や料理も紹介されてガイド色が強い。ただ、1巻2巻当時と違うのは、描き手がトルコを知らぬ独身日本女性でなく、トルコ人と結婚し、子育ても終えようとする、トルコの人々から見てもいわば親戚のおばさん的立場にあるということ。
思わず遠い目・・・
というわけで、以下は書評というより、ただの思い出語り、ヒストリア。
「バックナンバー」をぽちっとクリックしていただけるとおわかりのように、当ブログ「くるくる回転図書館」は2000年8月に始まっている(その後、2度、発表の場所を変えてきた)。
その2000年8月にあわただしく取り上げたコミック作品の1つが、高橋由佳利『トルコで私も考えた』だった。
『トルコで私も考えた』シリーズはその後も幾度か紹介しているが、その間、作者をめぐる環境も変わり、内容も独身旅行者からトルコ人との結婚、出産、神戸にトルコ料理店出店・・・とさまざまに移り変わり、一方作者の目に映るトルコ本国も、テロ事件など、ただ旅人にやさしい、人懐こいという紹介ではおさまらない変遷を見せてきた。
『トルコで私も考えた』とともに歩んできた「くるくる回転図書館」・・・
としみじみしていたいところだが、どっこい高橋由佳利の作品と出会ったのはそれよりもっとずっと前、りぼん53年夏の増刊号(1978年)に掲載された「コットンシャツに夏の風」。
花の24年組と称され、少女マンガの変革を推し進めた萩尾望都、大島弓子、樹村みのりらの作品発表が一段落し、オーソドックスな少女マンガの側もその影響か、各作品とも微妙に思索的、複合展開を見せたころだったかと思う。
高橋由佳利の作品は、個々にみれば実に旧式なガールミーツボーイもの、ちょっと男性からは照れてしまうような展開ではあったのだが、主人公の垣間見せる戸惑いの表情に作者本人のテレというか“躊躇”が感じられ、気になって雑誌からの切り抜きを保持していた。
(ちなみに「コットンシャツに夏の風」そのものはリアルタイムに雑誌で読んだが、添付画像の単行本『お月さま笑った?』は出張校正先の印刷屋の営業から小椋冬美の『夢で逢えたら』等とともに刷り見本として箱でいただいた。すみません、お金払ってません。)
それから10年以上経ったある日池袋のデパートの書店店頭で『トルコで私も考えた』と出会い、面白く読んで、しばらくしてかつての少女マンガ家高橋由佳利の名と結びついて、けっこう驚いた記憶がある。
おそらく、文字だらけのこちらのほうが高橋由佳利の本質だったのだろう。
出会いから現在まで、とくに熱心な読者だったとはいいがたいが、一人の表現者の変遷を40年にわたってリアルタイムに見られているのだなと思うと、それなりに感慨深い。
これからも都度都度マイペースでよいので発表を続けてほしい。いつか、トルコに行けたらいいな、とも思う。
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