フォト
無料ブログはココログ

« 30行でゆがむ 『現代百物語 終焉』 岩井志麻子 / 角川ホラー文庫 | トップページ | 『からかい上手の高木さん』(第10巻) 山本崇一朗 / 小学館 ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル »

2019/02/07

新古典 『カササギ殺人事件(上・下)』 アンソニー・ホロヴィッツ、山田 蘭 訳 / 創元推理文庫

Photo「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「本格ミステリ・ベスト10」「このミステリーがすごい!」と、ミステリ4賞の海外部門第1位を独占(初)、書店店頭には平積み。今さらの『カササギ殺人事件』だが、いちおう「読みました」のスタンプ代わりに(ラジオ体操の出席スタンプか)ちょこっとだけ書いておこう。

上・下巻、上巻はアガサ・クリスティへのオマージュに満ちたイギリスの田舎の村を舞台にして「名探偵」が活躍するミステリ小説『カササギ殺人事件』、下巻はその『カササギ殺人事件』の原稿の結末部の紛失を契機に、作者を塔から突き落とした犯人を編集者が追う現代的なサスペンス。

これ以上は何を書いてもネタバレになってしまうが、この手の作品内作品を扱ったミステリとしては緻密な構成、雰囲気ともに非常によく出来た作品で、ことにいわゆる「黄金時代」のミステリファンなら手に取って決して後悔はしないだろう。

しいていえば、綾辻行人以降の「本格推理」、いわゆるパズラーを好む方には少し古めかしく思われるところがあるかもしれない。作者との嗜好の違いなのだから、それはもうしょうがない。

後半、英文のままでないと理解、推理できないところが少なからず出てくるが、それを日本語に落とし込んだ訳者の努力は驚嘆に値する。ただ、作中に隠された小ネタ(地名や宿屋の名前がクリスティの作中から取られている、など)については、クリスティ、そして本作を原文で読める者でないと気がつかない、楽しめない、という限界はあるだろう。
たとえばタイトルに用いられた「magpie(カササギ)」には、カササギの習性から「おしゃべり屋、収集癖のある人」という意味もあるらしい。作者はそのあたりを意図したのかどうか? などなど。一部の岩波文庫のように本文を上回るボリュームの解説があればよい、というものでもなし、それもまたしょうがない。

« 30行でゆがむ 『現代百物語 終焉』 岩井志麻子 / 角川ホラー文庫 | トップページ | 『からかい上手の高木さん』(第10巻) 山本崇一朗 / 小学館 ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル »

ミステリ・サスペンス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 30行でゆがむ 『現代百物語 終焉』 岩井志麻子 / 角川ホラー文庫 | トップページ | 『からかい上手の高木さん』(第10巻) 山本崇一朗 / 小学館 ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル »