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2017/06/13

『増補改訂版 刑事コロンボ完全捜査記録』 町田暁雄、えのころ工房 / 宝島SUGOI文庫

Photo地位も名声も手に入れた登場人物。しかし、その地位を脅かす者が現れ、彼(彼女)はその邪魔者を緻密な計略の上、殺害する。犯行はもちろん、被害者と自分を結びつける証拠は何ひとつないはずだ──。
そこに現れたしわくちゃレインコートの冴えない刑事。「あたしロサンゼルス警察のコロンボ。殺人課の」

倒叙ミステリの傑作、ピーター・フォーク主演の『刑事コロンボ』は、旧シリーズ45話(日本公開1972-1977年)、新シリーズ24話(1993-2004年)の全69話からなる。

旧シリーズはほぼ全話リアルタイムに視聴したし、製品版DVDもひとそろい持っているのだが、新シリーズは仕事の忙しい時期だったこともあり、ほとんど見ていなかった。
その新シリーズがしばらく前からBS-TBSで再放送されており、最近は毎週録画しては楽しんでいる次第。
その際、BRレコーダーの上に置き、「あれ、ロバート・ヴォーンが犯人をやったのはどの話だっけ」「この手の罠が最初に出てきたのは──」など、何度もページをめくり返しているのがこの文庫本『増補改訂版 刑事コロンボ完全捜査記録』。

本書は『刑事コロンボ』全話について、それぞれ犯人像、トリック、俳優・声優紹介のほか、各話に登場する印象的な食べ物飲み物、凶器(殺害に使われた拳銃は全話で合計何丁、とか、鈍器にはどのようなものが、とか)、コロンボの親戚話、ご存知“かみさん”の特技、使われたクラシック音楽などなどをこと細かに調べ上げ、1冊にまとめたものである(いくつか改訂版があるので注意)。
ちなみに公式ガイドブックではないため表紙を含めて写真は使われておらず、本ページではマンガタッチのイラストが多用されていて、それが実に楽しい。

ちょっとした脇役俳優がほかの回では重要な役を演じていたり、かつて使われた有名なプロットが一種の隠し味として別の話で再利用されていたり、ちょっとしたセリフに実は結末が示唆されていたり、等々、漫然とテレビ画面をながめているだけでは気がつかない詳細な情報がページ狭しと列挙されていて頭が下がる。
コロンボのファーストネームやかみさんの名は最後まで明らかにされなかった、とか、コロンボの愛車プジョー403がどの回にはどのような状態で登場した、とか、今週放送された「だまされたコロンボ」の犯人が「バイバイキーン」のあのキャラの声だったとか。
(欲を言えばプジョー403以外の車についても車種など詳しく取り上げてほしかった。あの、燃費なんて概念のない、ブレーキに合わせて波打つように上下に揺れるあのバカでかいアメ車たち。)

本文は全ページ、コロンボ愛に満ちあふれていて、その分、厳しいところはとことん手厳しい。
シナリオの矛盾、推理の穴、演出の甘さなど手加減なく指摘されており、とくに新シリーズは脚本に苦しんだのかいろいろ迷走したもようで残念だ。

もちろん全犯人の犯行方法(凶器)から俳優の伸長まで一覧表にするくらいだから、トリック、プロットのネタバレはやむを得ない。だが、そもそもコロンボの良作は何度見直しても十分面白い。いや、これほど細かく切り刻まれ、なお底の知れない味わい、それこそがコロンボの魅力なのだ。

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