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2017/03/16

エロ以外なんでもあり 『猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』シリーズ(現在7巻まで) 内藤 了 / 角川ホラー文庫

Photoヒロイン藤堂比奈子は八王子西署刑事組織犯罪対策課の新人刑事。長野出身。亡くなった母から渡された八幡屋礒五郎の七味缶をお守りに持ち歩き、ピンチになると七味を口にして「か、辛い」と声を上げる。特技は事件のあらましや関係者のやり取りをイラストで描く事で詳細に記憶すること。先輩課員や鑑識官たちに励まされ、からかわれつつ、一人前の捜査官として経験を踏んでいく……。

それのどこがホラー文庫なんだ、と首を傾げそうになるほのぼのほんわか設定である。空き家探検に探偵気取りの子供たちと協力する、事件で知り合ったおばあちゃんの太鼓焼きを課への差し入れに毎度買い求める、などなど、随所に昭和テイスト、人情味が溢れる。

──ところがぎっちょん首チョンパ、事件現場がエグい。

1冊め、『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』では、殺人犯たちの自殺の仕方がエグい。心臓を三度刺す、とか、自分で○○を●●に突っ込む、とか。ことの真相も、なかなかくる。
2冊め、『CUT 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』では古い洋館に散らばる着飾った腐乱死体がどれもこれもステキステキ。アメリカの連続殺人鬼やトマス・ハリス『羊たちの沈黙』に影響受けてのものだと見当はつくが、それでもここまで大胆に描かれると食事中には読めない。

マスターピースは上記2冊。
以降はシリーズものの常としてだんだんダレてはくるが、

3冊め、『AID 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』も被害者の死体に漂う腐乱臭がページから溢れてこもる。
4冊め、『LEAK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』、殺し方がエグい。生きている被害者の口から貨幣、紙幣を一気に流し込む。解剖中に気をつけないと胃が破れるほどに。
5冊め、『ZERO 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』、さすがに少々のことでは驚かなくなるが、脱獄して再登場の連続殺人鬼の挙動がヒリヒリ神経を刺す。

これらの猟奇的場面について、既存のサイコサスペンスの亜流と指摘する声もあるかもしれない。本格推理やサスペンスを求める向きには人情噺が余計だろうし、駆け出し刑事の頑張り物語を期待する読み手にはグロがいささか過ぎるに違いない。警察組織や捜査に関して現実に即していないという指摘もあるだろう(「東大法医学部教授の検死官」なる肩書は眩暈を誘うし、警察関係の施設として人道的に、いやそれ以前にちょっとあり得ないものが出てきたりする)。

それでも、とくに1作め、2作めの死体へのサイケな扱い、それをめぐる物語の推進力は半端なく魅力的だ。テレビ朝日「相棒」などにもときに死体は出てくるが、地上波ゆえか、出来てまだ半日程度の生ものか、逆にとうに白骨化していて、要するに腐敗や臭いについては描写に乏しい。本シリーズはそこにこだわるのである。

対策課の課員それぞれの個性が明らかになってくる3冊めあたりからはチーム色が強まり、個人的には少々うんざりしてしまうのだが、それでも読んで楽しいことに変わりはない。
インターネットで探せば本物の死体だろうが殺人の現場だろうが造作なく見られるようになった時代だが、それでも思わず身を引く猟奇性、さくっとオススメである(誰に?)。

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