〔短評〕 『所得倍増伝説 疾風の勇人(2)』 大和田秀樹 / 講談社 モーニングKC
待望の2巻出来。
帯に「戦後はもはや歴史!」とあり。その通り。だとするなら、たとえば三十代、つまり70年代中盤以降に生まれた方々に、本書や山本直樹の『レッド』はほんとのところどう読まれているのだろう。
太平洋戦争、GHQによる占領、安保闘争、連合赤軍事件等々といった昭和の歴史の、知識はあるが実態はピンとこないのか、実はがっつり詳しいのか、それともまるきりご存知ないのか。
本書に登場する吉田茂や池田勇人らの働きで日本が独立を取り戻したのは烏丸の生まれたほんの数年前である。池田勇人の記憶はあまりないが、佐藤栄作や田中角栄、大平正芳は「おらが時代の総理大臣」の意識が強い。
もちろん、テレビでリアルタイムに見ていたからといって本当のことを知っているとは限らない。野党第一党の代表選で選ばれようという人物の国籍一つ、藪の中だ。──しかし、藪の中、八百の嘘の中からこそドラマは生まれる。
昭和ウェルカム。大河ドラマもいい加減戦国武将や新選組ばかりでなく、昭和の宰相を描いてみせよ。
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いかなる「忖度」が働いたのか、池田勇人が首相になってもいないのに連載が急に終わってしまいました。残念でなりません。
顔については、ちょびひげ角栄のファンです。似てないけど。
あーうー大平はいくら若いころとはいえ、かわいらしすぎでしょう。
それにつけても宮沢だけなぜ・・・・
以下略
投稿: 烏丸 | 2017/06/30 03:30
皆さん、あまりのイケメンっぷりに倒れそうになった 造形です
大和田先生、続きを!
え、これ池田勇人?佐藤栄作?マジか〜
以下略
投稿: やすい | 2017/06/23 09:37