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2016/07/13

『連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏』 巻来功士 / イースト・プレス

Photo1980年代、『ドラゴンボール』『北斗の拳』『聖闘士星矢』『ブラック・エンジェルズ』『キン肉マン』『シティーハンター』『キャプテン翼』『ジョジョの奇妙な冒険』などの連載マンガで少年ジャンプが最も熱かったころ、エログロオカルトバイオレンスアクション『ゴッドサイダー』でマニアックな人気を博した巻来功士の自伝的コミック。

『ゴッドサイダー』は少年ジャンプ伝統の“友情・努力・勝利”の構図に表向きはのっとりながら、憑かれたような過剰さに自ら燃え尽きて消えていった。『連載終了!』にはその前後の経緯が語られていて興味深い。

ただし、ここで示されるのは、作家本人と、せいぜい担当編集者とのやり取りであり、編集部内での評価等がすべて明らかになるわけではない。むしろこの『連載終了!』を読んで痛々しく感じるのは、少なくとも当時、マンガ家という職業は編集部に対して常にその時点のただ一人の編集担当者を通してしか雑誌そのもの(編集部)や読者とのつながりを持ち得なかったということだ。

「月刊フラワーズ」2016年7月号には、『ポーの一族』40年ぶりの新作に添えて萩尾望都と山岸凉子の対談が掲載されているが、その中で山岸は掲載当時の『ポーの一族』は読まなかったと述懐している。
『連載終了!』を見ても、同じ少年ジャンプに連載を持ちながらマンガ家どうしの付き合いは驚くほど薄い(その例外がマンガ家自身が他の作家のもとを訪れるアシスタント業だといえる)。

後半、編集部の求めるものと自身の求めるものの乖離を明確に意識した巻来は、走りながら叫ぶ。

  オレはもうただ強さを競うだけの単純な漫画なんて描かない!!
  戦って死んでもそのたびに友情や愛の力で蘇る漫画なんて描かない!!

その決意の結果生まれたのが、青年マンガの傑作『ミキストリ -太陽の死神-』だった。──とはいえ、巻来作品のファンから見れば『ゴッドサイダー』も『ミキストリ』も妄想の暴走度合いにおいてたいした違いはない。

だからこそ、この作者の作品は他のなにものにも代えがたいのだが。

おまけ1
巻来作品の中で、個人的には(連載打ち切りとなった)『メタルK』が一番好もしい。戦いがだらだらと拡大再生産される手前で終わる壮絶な美しさ。

おまけ2
巻末対談の堀江信彦氏(少年ジャンプ5代目編集長)のコメントは極めて有用。縦糸と横糸、どっちの才能、マンガ家は絵コンテが切れる、など。 

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