萩尾望都をめぐる雑感 その3 「まんがABC」
☆彡 萩尾望都については、1972年頃から今でいうカルトな人気が高まっていたらしく、「別冊少女コミック 1972年8月号増刊フラワーコミック」に初期作品のうち「かわいそうなママ」「雪の子」「塔のある家」の3作が再掲され(いずれも描線、表情、コマ割りともに素晴らしい)、その後週刊少女コミックなどに旧作の再掲がしばらく続いた。
下はその際併載された萩尾望都作品リスト。マンガが読み捨てられるものから再読、深掘りされるものになっていった時代の足跡の一つと言えるかもしれない。
なお、このリスト掲載時点ではまだ「ポーの一族」は発表されていない。つまり「アラン」の名はこのイラストカットで初めて誌上に登場したことになる。
☆彡 下は「トーマの心臓」連載当時発表された「まんがABC」。
萩尾望都のマンガにかける思い、影響を受けた作品などがABC・・・のアルファベット順に24ページにわたり熱く語られている。
非常にスキルフルかつ読み応えのあるマンガエッセイなのだが、単行本未収録どころか作品リストに入っていないこともあるようだ。残念でならない。
☆彡 驚くべきは、この深みのあるマンガエッセイに編集者が付けた欄外のコメントが
「◎まんがよむのに、難しい講釈は不用! まずはよむこと。そしてたのしむことです。ね!?」
というもの。ほとんど嫌がらせである。
ロジックや構成を大切にする萩尾望都ら新しい世代がいかに疎んじられていたかの表れだろうか。
(詳しくは書けないが、当時、小学館の少女マンガ誌の編集者がいわゆる「24年組」の作家たちについて、一部マニアに受けるだけ、売り上げに貢献せずむしろ迷惑、と名指しであしざまに罵る現場に居合わせたことがある。)
☆彡 「まんがABC」の1ページ。
痛い。このページの内容は、今でも夢に見る。
☆彡 なお、「まんがABC」の表紙で「センセ オチャーッ」って叫んでいるのは、のちに若くして亡くなられた花郁悠紀子ではないか(波津彬子の実姉)。
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