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2016/02/12

『虚構推理』 城平 京 / 講談社文庫

Photo一眼一足のツンデレヒロイン岩永琴子がぶっきらぼうなのも、ストーリーが起伏に乏しい──というより全編ほぼ新事実やアクションだらけなのも、これを猟奇ホラーマンガの原作ととらえればさほど気にならない。
本格ミステリ大賞受賞作と聞くとさすがに「おわ」と息が詰まる思いの一つ二つしないでもないが、それもさておき、1冊のエンターテイメントとしてそれなりに楽しめた。
ホラー、SF、ミステリ、ライトノベルなどの要素を組み合わせつつ、ともかく先の読めない、読んで楽しい論理ゲームを志向した労作である。

──っと持ち上げたうえで、気になった点をいくつか列挙しておこう。
(一部、真相に触れるため、以下、未読の方は読まないようご注意ください──とお決まりのお断りを入れてはおくが、この程度書いたからといってネタがバレるほど単純な作品ではないので気にしない。)

というわけで、

・怪異と意思疎通ができ、七瀬かりんの死の現場の報告さえ受けられる岩永の特殊能力をもってすれば、真犯人がどこで何をしているか発見するのはたやすかったのではないか。

・真犯人の目的が今ひとつよくわからない。鋼人七瀬による現実の事件を起こせたところでいちおうの成果を得たとは考えられないか。

・岩永が指摘するとおり「今夜が山」であったなら、真犯人は岩永のIPからの書き込みを数時間制限すればよかったのではないか?

・岩永の攻撃に対し、もしサイト主が貧乳姿で登場していたなら、その後の展開は変わっていたのでは(笑

・「虚構推理」というタイトルはどうか。そもそも岩永や九郎にとって「推理」すべき事柄などなく、必要だったのは「虚構」をもって「虚構」を打ち消す闘争だった。(直接的でつまらないことではなおさらだが)「虚構合戦」ならまだしも内容に即すか?

・ないものねだりを承知で書くが、七瀬かりんの死やその家族をめぐるいくつかの謎が謎のまま捨て置かれたのが惜しい。後半の「虚構合戦」と並行して現実への合理的な解釈が提供されたならミステリとしての厚みは相当なものとなったのでは。

・作中の「まとめサイト」なる用語に違和感あり。ただの「掲示板」では?

・本作に限らず、もし、未来を予言することが一つの未来を選ぶ能力であるなら、それは「全知」の能力を下敷きにしなければならない。でなければその未来がいかなる未来であるか、把握できるはずがないからだ。

以上。

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