『ずっとお城で暮らしてる』 シャーリイ・ジャクスン、市田 泉 訳 / 創元推理文庫
メアリ・キャサリン(メリキャット)・ブラックウッドは十八歳。六年前、彼女の父、母、そして幼い弟が毒殺された家で、姉のコンスタンス(コニー)、伯父のジュリアン老人、猫のジョナスと静かに暮らしている。ブラックウッド一家を恐れつつ遠巻きに嫌がらせを歌う町の者たち。そこに従弟のチャールズが現れ、三人の静かな暮らしが崩れていく──。
ある程度スレた読者なら、ここまでのあらすじで後半の展開が概ね読めるのではないだろうか。はい当たり。その通りです。
本作は『くじ』や『丘の屋敷』に比べれば「直球」で、素直にバットを出せば当たるようなところがある。
怯えそうな者は怯え、無神経は無頓着、悪意は悪意、狂気は狂気に走る。
右も左も想定内で、不安になる、あるいは恐怖に急き立てられる要素がどこにもない。
しいて予想できなかったといえばコンスタンスの言動だろうか。ふわふわとかけらのリアリティもなく、作者が何を考えていたのかよくわからない。
……それでもこの作品、一部の読書家にはウケがよい気配なのが不思議。なのでモノは試し、当たるも八卦、お奨めである(?)。
なお、先にも少し触れたが、本文庫の解説は要注意。
本作のクライマックスはおろか、同じ作者の他の短篇までネタをさらして顧みない。それだけでなく、実在の無辜の子供をなんの理由もなく疎外する側の視点から書かれており、その限りでは若干人間性を疑わざるを得ない(作家が自身を「善良なはずの自分」と書きますか)。
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