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2015/05/08

あたし冬眠していたのよ 『人外な彼女』 高橋葉介 / 早川書房

Photoちょっと見平凡な男の子のもとに、見かけは普通、実は妖異の類が現れる。それでも主人公は動じず、騒がず、争わず──

というのが『怪談少年』や『ヘビ女はじめました』など、ここしばらくの高橋葉介の新作短編集でよく見うけられるパターン。もちろん、ときには主人公ももがいたり逃げたり見ないふりをしたりするのだが、それでも追ってくるのがお化けというものだ。

正体を明らかにした魍魎はゴム人形のようだったり、巨大なクモ、蛇女だったりするが、たいていの場合コミカルかつ「奇妙な味」ふうのオチがつくので、ことさら怖い、気持ちが悪い、というものではない。

『人外な彼女』でも主人公の少年のもとにあれこれ怪しい女(少女から大年増まで)が現れ、という設定は変わらない。ただ、今回、少しだけテイスト違いなのが、少女たちのうちいく人かが主人公に思いを寄せつつ消えていくことだ。

教会でウェディングドレスを着る夢が果たせなくなって朝焼け空に灰と消える「吸血鬼はじめました」、一言もセリフのないまま主人公を守って死んでいく「鮫少女はじめました」、自分が人間でないと知らず結界の外でばらけてしまうワラ人形の登場する「鬼婆はじめました」などなど、いずれもこわばった頭をリフレッシュする。
ことに空き地に埋まっていた幼い蛇女を掘り起こす「蛇女はじめました」はホラー度、妖しい美しさともに本集の白眉、別れの窓際での「僕は余計な事ばかりしたね」のセリフが冷たいウロコのようにさらさらと胸のなかを流れる。

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