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2015/03/16

これも、へんです 『へんないきもの三千里』 早川いくを、寺西 晃・絵 / バジリコ

Photo「世界的ベストセラーとなって生物学書籍の常識を覆したと言われる『へんないきもの』シリーズ、本講座では続いて『へんないきもの三千里』を取り上げたい」
「あれ? シリーズ最新刊は先日ご紹介した『うんこがへんないきもの』では?」
「まーそのー、この本、ずっと前に買ってはいたのだけど、なにしろ縦横21.2×15.4cm、厚さ3.2cmのハードカバー。ざっと文庫4冊分で持ち歩くに持ち歩けず、部屋の隅にほったらかされていたのだった」
「なるほど。机と椅子が行方不明になると噂の先輩の部屋ですから、そういうことも」
「机と椅子が行方不明って、それは言い過ぎ。机は、ある」
「椅子はどっかいっちゃったんでしょう?」
「椅子の行方はともかく、今回は小説である。もちろん早川いくを得意のへんないきものは満漢全席てんこ盛りだが、今回はがっつりストーリーもあって、読むに楽しく夜は短い」
「え、ストーリーありなんですか。ではタイトルからすると……産み落とされたへんなマルコが、へんな母をたずねて三千里?」
「と、いうわけでは、ない」
「うーん。じゃあ、経典求めて西域を旅する夏目雅子を、へんないきもの三匹が守って歩く」
「それは『へんないきもの西遊記』」
「城壁内に生き残る人々を巨大なへんないきものが襲う!」
「それは『進撃のへんないきもの』」
「生物の世界で起こった戦争をテーマに、千種類ものへんないきものを生き生きと描き分けた」
「映画化もされた『へんないきものと平和』」
「無人島に流れ着いたへんな少年たちがへんな工夫をこらして生き残る」
「それは『十五へんないきもの漂流記』」
「へんな王子の銅像が、へんなツバメに宝石を配らせる」
「『幸福なへんないきもの』」
「ワトスン、壁から這い出てくるへんなものに気をつけろ!」
「『まだらのへんないきもの』」
「おーほほほ、そんな演技力でわたくしと競おうとは」
「『ガラスのへんないきもの』」
「パトラッシュ、僕もう疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ」
「『フランダースのへんないきもの』」
「クララが歩いた! クララが歩いた!」
「『アルプスのへんないきもの』」
「女の子が小さくなってへんな連中に振りまわされる」
「ぴんぽーん。正解」
「あれっ、『へんないきものの国のアリス』じゃなくて……正解?」
「そう。もう少し詳しく言うと、金は持ってるが性格の悪い両親の間に生まれたたかびーで身勝手な女の子がへんないきものの世界に迷いこんで、へんないきものをひどい目にあわせる」
「は? ひどい目にあう、ではなくて ?」
「あー、まー、サムライアリに奴隷にされたり、サメや深海魚に呑みこまれたり、二枚貝に卵を産みつけられたり、免疫細胞軍と闘ったり、カニにかじられかかったり、毒タコにからまれたり、順不同、多少はひどい目にも、あう、かな」
「十分ひどい目じゃないですか」
「いやー、それでも、ビターでスピーディーな展開に笑っているうちに、やっぱりこの作者はニンゲンよりへんないきもののほうがかわいい、いとしいと思っているのかな、という気になっちゃうんだよね」
「はあ」
「なにしろニンゲンはへんないきものたちよりよっぽどたちが悪いからなあ」
「確かにそうですね。借りたお金は返さない。酒はたかる。仕事はさぼる。ふられた相手をこりずに誘う。部屋は汚部屋で椅子の場所もわからない」
「おれのことかよっ」

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