フォト
無料ブログはココログ

« すいませんすいません 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』(2巻) 竜田一人 / 講談社 モーニングKC | トップページ | 『故郷』『祭の夜』 パヴェーゼ、河島英昭 訳、『シチリアでの会話』 ヴィットリーニ、鷲平京子 訳 / 岩波文庫 »

2015/03/06

『流刑』『月と篝火』 パヴェーゼ、河島英昭 訳 / 岩波文庫

Photoチェーザレ・パヴェーゼ(1908-1950)はイタリアの詩人、作家、翻訳家。
若い女性二人の、夕闇に青春が焼け落ちる、そんな小説『美しい夏』で知られる。
1935年、トリノの知識人が反ファシズム容疑で一斉検挙された際、その一人として逮捕され、イタリア半島南端に流刑となった。翌年恩赦。
1950年、文名高まる中、トリノのホテルで服毒自殺。

いらだちや嫌悪、欲望、悔恨など、主人公の折々の感情で組み上げられた初期の自伝的作品『流刑』に対し、貧しい農村で私生児として育てられた青年が地位と財産を得て故郷の丘に戻る夏を描く後期の『月と篝火』では感傷の雫がそぎ落とされ、時の流れを俯瞰する硬質かつシンプルな表現が一種叙事的な領域に達している。
決して初期の抒情的な作品が好もしくないわけではないが、表題『月と篝火』の「月」の描かれる中盤の青く澄んだ放浪の夜、「篝火」の描かれる赤い悲劇など、静かな語り口が突きつける冷たくも熱い凄みは比較するものがない。終幕、主人公はもはや哀しむことさえ許されない。

不思議なことに、パヴェーゼの作品で若者が道を歩くと、ふっとロシア、ペテルスブルグあたりの裏道が思い浮かぶ。
『流刑』など南欧の海岸の出来事のはずが、ロシアの貧しい学生が半地下のアパートでサモワールで侘しくお茶を入れて暖をとるさまが現れて消えない。貧困、主人公の鬱屈などが共振するのだろうか?

ロシアからドイツを経てイタリアにいたる、無骨で不器用な、鉛色のつながり。
申し訳ないが、フランスはおもねることに器用すぎる。

(この項、続く)

« すいませんすいません 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』(2巻) 竜田一人 / 講談社 モーニングKC | トップページ | 『故郷』『祭の夜』 パヴェーゼ、河島英昭 訳、『シチリアでの会話』 ヴィットリーニ、鷲平京子 訳 / 岩波文庫 »

小説・詩・文芸評論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/547008/61236592

この記事へのトラックバック一覧です: 『流刑』『月と篝火』 パヴェーゼ、河島英昭 訳 / 岩波文庫:

« すいませんすいません 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』(2巻) 竜田一人 / 講談社 モーニングKC | トップページ | 『故郷』『祭の夜』 パヴェーゼ、河島英昭 訳、『シチリアでの会話』 ヴィットリーニ、鷲平京子 訳 / 岩波文庫 »