フォト
無料ブログはココログ

« 2014年9月 | トップページ | 2014年11月 »

2014年10月の9件の記事

2014/10/29

〔メモ〕 何のサイン? 描き分けられる右左の目

Photo_5マンガのうんちく本などでも扱っているのを見たことがないので、メモ代わりに書いておきます。

★伊達政宗や横山光輝の『片目猿』、柳生十兵衛、丹下左膳、あるいはゲゲゲの鬼太郎、『鋼の錬金術師』のキング・ブラッドレイ、『ワンピース』のゾロ……といった隻眼のキャラクターは除き、
★『ドラえもん』でのび太のパパやジャイアンが驚いたときや怒ったときに(文字通り「目を白黒」して)片方の目だけが黒目になってしまう例、これも除き、
★寺沢武一の『ゴクウ』や『ハートキャッチプリキュア!』のダークプリキュア、最近では鈴木央『七つの大罪』のエリザベスのように片目に特殊能力を宿らせる例も除き、
Photo_4★さらに他の登場人物に向けて意思表示するウィンク、目配せを除いて、、、

マンガではときおり、キャラクターの目の形状が左右で描き分けられる場合があります。

右上の画像は先般紹介した『カオスノート』における吾妻ひでおの(多分)自画像。
その下は藤子・F・不二雄『エスパー魔美』の一編「マミ・ウォッチング」に登場するカメラ青年で、誠実な心根の持ち主。彼の目は普段は左右均等に描かれていますが、びっくりしたときと、この1コマだけ、片方の目が黒目になっています。

24_5ギャグマンガ以外でも、たとえば左の2つの画像は森川ジョージ『はじめの一歩』の単行本24巻(対ポンチャイ・チュワタナ戦)なんですが、この前後、鷹村や鴨川ジム会長、対戦相手のコーチ、ボクシング雑誌の記者らがやたら片目をつむっていました。

このように、びっくりしたわけでも、特殊能力を表すわけでもないごく普通のコマでキャラクターの目の形状が左右で描き分けられるのはなぜなのでしょう。

24_6マンガというものが、平面に描かれながら読み手に立体感を伝えなければならないメディアである以上、いわゆる「斜め45度」的、よりカッコよく、あるいはより楽しく見せる工夫は必要に違いありません(アトムや花形満やサイボーグ009の髪型など。鴨川ジム会長もよく帽子などで片目を隠され、凄みを増しています)。
今回紹介した左右の目の描き分けも、その延長なのでしょうか。それにしてはとくになんでもないコマなのがよくわかりません。その多くは脇役で、ウィンクや目配せとも微妙に違うようです

左右の目を描き分けるとコマにリズムが出るから、マンガが描かれるときに、マンガ家が片方の目(効き目)を駆使していることの自然な現れ、など、推測はしてみますが、正解に近づいている気がしません。
マンガ家本人に聞いてみたいところですが、描いているほうもはたして意識してのものかどうか。

2014/10/24

らぶりーさいくらー 『かわうその自転車屋さん(1)』 こやまけいこ / 芳文社コミックス

Photo最近、に限らないかもしれないが、身辺で自転車にはまる者が増えている。集って遠征する者、レースに出る者、ラブライブの痛チャリでイベント突入を試みる者。ただしコミケ会場は自転車乗り入れはNG。なのでauの車載型基地局も『弱虫ペダル』とコラボりながら自転車そのものは持ち込めなかったもよう。

絵本自転車をテーマとしたコミックエッセイでおなじみ、こやまけいこさんの新作『かわうその自転車屋さん』では、動物たちの町でも自転車は大切な乗り物だ。誰もが坂の上の自転車屋さん「ストラーデ・ビアンケ」にやってきてはピザやプリンパフェに舌つづみを打つ。……ん? ピザ? パフェ?
そう、「ストラーデ・ビアンケ」は自転車屋さんなのにカフェ風の造りで、お客は皆ピザセットを食べ、ゆっくりくつろいでは帰っていく。そこでかわうその店長は、今日も正しい自転車のあり方を世に広めんと、早朝から裏の川で水浴びに朝ご飯、それからシャワー浴びて、洗車して、パンク修理で水につかって(らぶりー)、ときには隣駅まで道案内の帰りにどんぶらこと川を下りーの、夜は風呂でロードレース観戦ーの……って、一日中水浴びしてばかりではないか。なんとかして、店員の羊のヨウコちゃん。

登場する動物たちは誰もが個性的で、それぞれに合わせた自転車が紹介されていく。絵柄はキュートだが、自転車についての案内は本格的。あげくは町をあげてのロードレース大会、流しかわうそだー。
視聴率にあえぐTVマン諸君、ここはひとつ本作のTVアニメ化などいかがだろう。無論映画のほうは実写版。バクやシマリス、ツシマヤマネコ、イノシシ、コモドドラゴンら、本物の動物たちが大小の自転車で画面いっぱい大活躍!! ……たぶん……。

ちなみに「ストラーデ・ビアンケ」は「白い道」の意。「ビアンキ」といえばイタリアの有名な自転車メーカーで、社名はBianchi(白)ながら、自転車の塗装は緑に近い青のCeleste(碧空、天空)カラー。なにゆえに~。

2014/10/23

無駄無駄無駄無駄ァァァ!! 『マンガ・うんちく漫画家』 筆吉純一郎 / KADOKAWA メディアファクトリー

Photo漫画家としてプロデビューを目指す青年、古見久太郎(こみ きゅうたろう)君。そこに突然帽子男、もとい帽子にトレンチコートの雲竹雄三(うんちく ゆうぞう)が現れて「知っているか!?」と漫画のうんちく小ネタを連打する。うるさい。しつこーい。

作者の筆吉純一郎は柳田理科雄との共著で知られる人。画風は手堅いが、本書の場合、参考文献のせいかうんちくが全体に少し古い。
今さら手塚、ちば、川崎のぼるでもないだろうし、「なぜ漫画家のイメージはベレー帽なのか」って、まだかぶってる人いるのか。

全体通して、ネタの出どころがやや講談社系に偏ってるような気もする。実際はサンデーの『おそ松くん』や『男組』、ジャンプの『こち亀』『キン肉マン』『ジョジョ』なども出てくるし、ガロや少女漫画家、ペンの選び方などの話題もある。単に気のせいかもしれない。
では、正確を期すために1ページ目から雑誌、ジャンル別にネタをカウントしてみようか。

──と、無駄無駄無駄ァァァなことにとことん労力を割いてみたくなるのが漫画うんちくのオソロシサ。この本には鳥山明がデビューまでに描いたボツ原稿の枚数から『ガラスの仮面』49巻までに描かれた白目の総数まで載っている。
「知っているか!?」対「それがどうした!」、南海の大決闘☆なのらー。

2014/10/15

秋の夜、足元を暖かくして読む 『世にも不思議な物語 世界の怪奇実話&都市伝説』 レノア・ブレッソン、尾之上浩司 訳 / 扶桑社ミステリー文庫

Photo50~60年代アメリカの超常現象再現番組『世にも不思議な物語』(DVDも発売中)からのノベライズ、全10話収録。
50年以上昔のTV番組ということもあり、細かいところではいろいろ古めかしいが、いたずらに怪奇をあおらず、それぞれきちんと「ノベル」に仕上がっているところが素晴らしい。読みやすく落ち着いた翻訳もいい。

ヒロインが意図せぬ文章を書いてしまう「クララからのメッセージ」は現代のストーカー殺人に通じる恐ろしさ。悪霊憑きがテーマの「呪われた花嫁」はウィリアム・アイリッシュの短篇に匹敵するサスペンス。サーカスを稼業とする家族の危機に一瞬の奇跡が訪れる「空中ぶらんこ」。グライダークラブのいさかいをめぐる「再会」は途中で待ち受ける結末の見当がつくが、それでも説明のつかなさにゾッとする。構成が二段階になっている「サリーに会ったときは」では、最後にすべてが明らかになってはじめてその哀切な怪異に胸を打たれる。などなど、モーパッサンもかくやのストーリーが並ぶ。

昨今の実話怪談では、よく読むとその怪異を体験したのは語り手当人だけということも少なくない。本書では、複数の目撃者がいたり、その特殊能力がなければ事件が解決しなかった、など、いずれもなんらかの条件が鍵となっていて好もしい。

もう一つ。この10話に共通するのは、【復】という概念ではないか。復帰の復、復興・復活の復、そして復讐の復。

2014/10/14

〔短評〕 『永遠のディーバ 君たちに明日はない4』 垣根涼介 / 新潮文庫

Photoシリーズについては前作の紹介をご覧いただくとして、気になった点を一つ。

収録のFile 2.「ノー・エクスキューズ」には、
「人間、もう必要とされなくなった場所に居てはいけないんだよ。だったら、そんな場所はとっとと捨てて、新たに必要とされる場所を探したほうがいい」
との一節が傍点までふられて重々しく示されているが、一見意味深なこの名セリフ、実は続くFile 3.「永遠のディーバ」にまったく相反する。
ディーバは必要とされなくなってもそこに居続けた。だから胸を打つのだ。

そもそも、必要としていた(しなくなった)のは誰か、を明らかにしていない点で、このセリフは論理を内包しない。
必要としていた(しなくなった)のは会社なのか。組織なのか。上司なのか。部下なのか。それとも顧客なのか。未来の社会なのか。あるいはその仕事をしたい自分自身なのか。

要するにこのシリーズはフィクションとして楽しめばよいのであって、ゆめゆめビジネス本の類のように頼りにしてはダメですよ、という話。
もっとも、ビジネス本をアテにする時点でハナからダメなんですけどね。
(誰が、ということを明らかにしていないので、気にしませんように。)

2014/10/13

お菓子を食べれば死ぬじゃない 『ミンコット荘に死す』 レオ・ブルース、小林 晋 訳 / 扶桑社ミステリー文庫

Photo「サスペンス」という言葉に、あなたはどんな状況を思い浮かべるでしょう。
1時間以内に爆弾を発見しないと、300人乗りの旅客機が! というハリウッド大作型スリル&サスペンスもあれば、2人の登場人物が煙草を手に静かに語り合ううちに過去の犯罪とそれを追う執念がじわじわ明らかになる……そんなサスペンスドラマも捨てがたい。

さて、『死の扉』で英国本格ミステリのコクとキレを示してくれたレオ・ブルースの『ミンコット荘に死す』はどうでしょう。

十一月の深夜、歴史教師のキャロラスはミンコット荘のレディー・マーガレット・ピップフォードから電話を受ける。娘婿のダリルが銃で自殺したらしい、至急来てくれないかというのだ。
(カバーの惹句より)

警察は嫌いだから知人を呼んだ、警察がきても今日は疲れたから話は明日、でまかりとおる時代の話です。
素人探偵キャロラス・ディーンは校長の嫌味や教え子の好奇心をかいくぐりながら関係者の話を聞いて歩きます。しかしその相手は甘い物好きな家政婦だったり村の呑兵衛だったりで、これといった決め手もなく、警察の所見は自殺に傾いていきます。そうこうするうちミンコット荘で第二の事件が! しかし、それでもいっこうに「サスペンス」は盛り上がりません。

ところが。
登場人物が一堂に会して真相が明らかになったとき、読者は、ミンコット荘が最初から最後までとんでもない「サスペンス」にさらされていたことを知るのです。

小林晋氏はじめ、レオ・ブルースの紹介、翻訳に尽力してこられた方々を詳解する塚田よしと氏の解説も必読。
お値打ちものです。

2014/10/11

ガラスでも噛んだよう… 『悪意の糸』 マーガレット・ミラー、宮脇裕子 訳 / 創元推理文庫

Photo殺す風』『ミランダ殺し』『これよりさき怪物領域』(これらはミステリという枠を悠々超えた怪作だと思います)の作者、マーガレット・ミラーの本邦初訳作品。1950年作。

無理押しを承知で邦題を比較してみると、先のヘレン・マクロイ『逃げる幻』のタイトルが「どうする」と「誰が」を表し、それを推理するストーリー展開を暗示するなら、『悪意の糸』のほうは人の「感情」と「関係」のもつれを示す──。
実際、ミラーの作品の多くは、失踪や殺人といったミステリの骨格こそいちおう用意されているものの、その本筋は登場人物の心の闇や狂気を容赦なく暴き出すことにある。物語の終盤、事件の真相は、明晰な探偵の推理によって解き明かされるのではなく、あたかも波や風に浸食されるかのごとく少しずつむき出しになり、その結果断罪されるのは必ずしも殺人を犯した犯人だけではない──。

蒸し暑く霧の出た不穏な夜、女医シャーロットの診療所を訪ねてきた若い女は、一夜の過ちによる妊娠に困惑する人妻ヴァイオレット。物語は自身も妻をもつ男との関係に苦しむシャーロットが、ヴァイオレットの失踪とその死の謎を追うかたちで展開していく。

残念ながらミラー作品にしてはさほどエキセントリックな歪みを感じさせず、後半のサスペンスも刺激に慣れた現在の目からみればおとなしい。
それでもシャーロットが抱える苛立ちは読み手の神経を引き掻き、救いのない結末の寂寥感も格別だ。
ミステリは美しく書かれ得る、その静かな証明の一つだろう。

2014/10/09

Johnny Angel 『逃げる幻』 ヘレン・マクロイ、駒月雅子 訳 / 創元推理文庫

Photoヘレン・マクロイ、マーガレット・ミラーレオ・ブルース、マージェリー・アリンガムら、少し昔の海外ミステリ実力派の初訳、文庫化が相次いでいる。ミステリ黄金期、またそれに続く時代の「地に足の着いたミステリ作品」の愛好者にとっては至福の秋である。

そのトップバッター、『逃げる幻』は、アメリカの女流作家ヘレン・マクロイ(1904-1994)による謎解きサスペンス。探偵役はおなじみ精神科医ベイジル・ウィリングス博士だ。

酒井貞道の解説の一節、

不穏な雰囲気、怪談めいた謎、周到な伏線、しっかりした推理、驚きの真相、そして明確なテーマ設定。これら全てを兼ね備えた上に、一つの作品として完成度高くまとめ上げている。

ここまで持ち上げられたら普通なら即眉に唾するところだが、本作に限りさほどウソではない。
いやそれ以上に、特命を受けた語り手ダンバー大尉の夜の爆撃機での移動、今夏独立をめぐる住民投票で話題となったスコットランドはハイランド地方の苛烈な歴史と風がなぶる荒野(ムア)の景観、また大戦直後の殺伐とした世情、思想の軋みまで織り込み、それらの要素が渾然一体となって淀みないのだから恐れ入る。タイトル(原題 The One That Got Away)も実に巧い。

ただ、逆にいえば、そのあまりに込み入った構成度合いが本作の弱みといえばいえなくもない。
300ページばかりの中にあまりに多くの要素を(そういえば語り手ダンバーの浮かれラブアフェアまで)練り込んで、それらすべてを伏線~結末への流れの中にバランスよく配置しようとした、それができすぎた「こしらえもの」の印象を強くしてしまうのだ。ある登場人物など誠に都合よく欧州いたるところで……(Beep! 以下自主規制)。

加えてこのウィリング博士、数ある名探偵の中では若干ノリの悪いところがあって、なんとなく真相が明らかになってから都合のよい分析を後出しする印象を否めない。

……などなど、減点要素は先に明らかにしておいた。あとはどうか手に取って読んでいただきたい。
登場人物は少なく、密室殺人のトリックはたいしたものではない。
と、油断していると──くいっと足首をつかまれる。

2014/10/03

基板萌え〜 『ハルロック(1)』 西餅 / 講談社 モーニングKC

Photoジャンキーな電子工作大好き女子大生、向阪晴(さきさかはる、19歳)を主人公とした逸品。電子工学ですよ、皆さん。

マンガの単行本に付箋を付ける習慣があったならバサバサ付箋だらけになったであろう、名言珍言のテンコ盛りが楽しい。

  電子工作界において「作るまでもない」は禁句な

  トグルスイッチあえて使用

  あれをAIと呼ぶとは… 図々しい… ← なぜこれが名言(笑

  ジャンク品は「後から買おう」ではもう遅い刹那の宝!

  NeXT? ジョブズが作ったあの伝説の?
  別に利用価値はないけど持ってたら自慢できるあの?

わはははは。

ただ、PICだの抵抗、レギュレータ、コンデンサ、発信子だのといったパーツについては詳しくは説明されず、いずれも魔法の呪文として描かれているだけ。作中の「ウエポンG」「ぼっち・ザ・LED」などの装置はぎりぎり製作可能と思われるが、その回路図もない。そのため物足りないとする評価もなくはないようだ。とはいえ青年向けコミック誌であるモーニングに回路図まで求めるのは酷というもの。そのあたりはCQ出版にお任せ。もしくは読者による『ハルロック』実践闇サイト……も楽しいかもしれない。

などなどつらつら考えていたら、昨日発売のモーニング2014年44号では簡単だからかもしれないが「〝揺れると〟光るネックレス」の回路図が掲載されていた。
ううん!? この位面倒くさくないと物足りないくらいだよ」の名言付き。

ということで、2巻のハンダ付け実装も、待てば回路の日和あり〜。

« 2014年9月 | トップページ | 2014年11月 »