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2014/07/08

【閲覧注意】なラブストーリー 『まちあわせ』 田中雄一 / 講談社 アフタヌーンKCDX

Photoやわらかなひらがなのタイトル、どこにでもいそうな作者名、穏やかな表紙絵──いや、騙されてはいけない。
収録の4作は、いずれもグロテスクな怪物に蹂躙された人間社会を描く、ゆがんだ化け物マンガである。

描かれる怪物は、たとえば12本の足をもつ変異体の節足動物だったり(この十二脚虫は人を襲って直接食べる場合もあれば、麻痺させて幼虫の揺籃とすることもある。後者において、人は意識をもったまま養分を吸われ続ける)、圧倒的に進化した類人猿だったり、人間の子供と融合して都市を守る醜怪な巨大獣だったりする。

怪物によって人間社会が危機に瀕するという点では諫山創『進撃の巨人』や本田真吾『ハカイジュウ』に近いものがある。しかし、本作で際立っているのは、脚が多すぎたり巨大でぶよぶよした怪物たち以上に、その怪物が闊歩する世界では人間の側もグロテスクに変貌する、そのことだ。

たとえば巻頭の「害虫駆除局」は、表向き夫婦愛がテーマとなってはいるが、主人公の青年の能天気さ身勝手さは十二脚虫たちの気持ち悪さを格段に上回っている。他の作品も、ちょっと引いて見ると人間の側がどこかおかしい。
表題作ほかから壮大な夫婦愛、家族愛の物語として一種爽やかな読後感を得ているのだとしたら、読み手はすでに田中雄一にどうにかされてしまっているのだ。

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