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2013/09/17

誰がわたし、的な。的な? 『わたしの宇宙』 実力派新人・野田彩子 / 小学館 IKKICOMICS

PhotoSpeculative(思索的な、思わくの、危険な)極まりない。
尖(とん)がっている、と言い換えてもよい。
迷惑、とさえ、言えなくもない。

カバー表4からそのまま引用してみよう。

  中学二年生の
  津乃峰アリスは、

  クラスメイトの
  星野宇宙から……

  自分達がいる
  世界はマンガで、
  ぼくが主人公
  である

  …と告白された。

「自分達が」から「告白された。」までは丸いフキダシに収まって、宇宙の手のひらの上に乗っている。アリスもフキダシを見たり触ったりできるようだ。
よく見ればそのやり取りの周囲には、マンガの版下を作成するために編集部から提供された専用原稿用紙の目盛りやトンボが薄く見える。

さあ、どこまで信用していいのか、覚悟してページをめくろう。

新学期のアリスの自己紹介に始まる物語は、クラスメイトの星野宇宙による「この世界はマンガ」という指摘から変貌していく。
たとえば登場人物たちは常に誰かに見られている。
カリントウを食べる「バリバリ」という文字が大きいと、フキダシは聞こえない。もとい見えない。
しかし、そういった強引な思考実験の一方で、宇宙やその家族、クラスメイト、教師たちは役割に応じた学園ドラマを展開していく。
学校、教室、クラスメイト、授業、プリント、テスト、弁当、部活、放課後。
では、描かれない間、隣のクラスは存在するのか? トイレは? 風呂は?

1巻だけでも、ものすごくいろいろな出来事があったような気がする。
まだ始まりにすぎない、そんな気もする。
作者がペンを走らせれば登場人物は動き、語り、ペンを置けばそこで終わってしまう。
そんな当たり前のことが宇宙やアリスの存在を決定する。

面白い、面白くない、というレイアにはもはやない。
驚きつつ、呆れつつ、この作者がどこまで押していけるのか、次巻を待ちたい。

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