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2013/09/24

無垢。 『富士山さんは思春期』(現在2巻まで) オジロマコト / 双葉社 アクション・コミックス

2中学2年生。女子バレー部のエース。身長、181cm。
そんな富士山牧央(ふじやま・まきお)が幼馴染の男子、身長160cmの上場(カンバ)と付き合うことになった。

母性と力をみなぎらせる富士山さんの巨きな身体に、中学生の幼く柔らかな心が収まり、ときに溢れ出る。
作者はサービスのつもりか、着替えだ水着だと、少しエッチなカットを多用するが、本作の魅力はそうしたところにはない。もどかしくも懐かしいラブアフェアが読み手を焦がすが、それでも足りない。
主人公の、思春期以前、むしろ小学生に近い無垢で曖昧な表情、無造作な身体動作がただそれだけで本当に魅力的なのだ。

小さな子供に「大きい」と指差され、背伸びして「うん大きいよ!」と笑ってみせる。
流しで洗い物をするのに自然と背中を丸める。
洗面台で歯を磨き寝癖をチェックするのに体を傾げる(そうしないと鏡に顔が映らないから)。
電車が揺れて咄嗟に天井に手をついて身体を支える。

みずみずしい果実、たとえば今が旬の梨を噛みしめると体中の水気が一気に浄化される、それに近い感覚。
できることならもう一度中学生に戻り、富士山さんのいる学校で学びたい。でもきっとその年の男子にはなかなか富士山さんは正視できなくて、「あのデカヤマ」とか言ってしまうのかもしれないが。

なお、単行本の巻末では、富士山さんの日常を描く掌編を掲載し、そこに奥付(著者や初出、発行日、発行者、印刷所などを記す)を散らしている。これまたすがすがしくて、よい。

(ちなみに表紙の富士山さんは、1、2巻とも、本編よりずっと大人びてありきたり。ちょっと惜しい。)

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