脳みそミューティレート 『実録 怪奇報道写真ファイル』 並木伸一郎 / 竹書房文庫
『実録 怪奇報道写真ファイル』は表紙を見れば一目瞭然、アンビリーバボーなワイドショー本である。逆にいえば実害の心配はなくて安心。
帯に「最恐の怪報道138連発!!」とあるが、全体のページ数はせいぜい260ページ、それに目次や章立てのページが含まれるのだから一つひとつがいかに薄いか……。
いや、この手の冊子にそのような否定的な姿勢は敵である。殲滅殲滅殲滅。
前向きに行こう。
たとえばFILE-3、台湾に現れたという半透明なエイリアン。むむっ、これはエクササイズに成功したバンデル星人に違いない(バンデル星人を知らない若い方はお父さんに聞いてみよう)。
FILE-4のイエティ、FILE-5のハッシー(浜名湖の巨大生物)、FILE-37ベトナムの宇宙人変死体、FILE-47チュパカブラ、FILE-57ビッグフット、FILE-58ツチノコなどなどなど、UMAの話題も豊富だが、なんといっても恐ろしいのはFILE-60「アメリカ軍が作った生物兵器!? セレブ御用達のビーチに現れたモントーク・モンスター」。なにしろ調査の結果「残念ながら最終的にはアライグマの死骸と発表された」って、そんなものにこの煽り付けられる作者が怖い。
それにしてもキャトルミューティレーション(FILE-40、41)やミステリーサークル(FILE-42)を「あり!」で扱う本を読むのは久しぶりで、それだけでも胸が熱くなるというものだ。おっとこれはコーヒーが口からこぼれていたのであった。だー。
前半は威勢よく2000年以降の報道写真をベースにしているが、後半はバテ気味、大正時代の髪の毛が伸びるお菊人形(FILE-70)とか、ロマノフ王朝の怪僧ラスプーチン(FILE-83)とか、バスティーユの牢獄に投獄されて1703年に獄死した小説『鉄仮面』のモデル(FILE-85)とか、もう何がなにやら。
もちろんジャンルも自由自在、陰謀からUFO、人類滅亡説、おなじみ「アステカの祭壇」、なかには怪奇でも不思議でもなんでもない、放置自転車が木の幹に取り込まれた写真(FILE-76)や偏頭痛薬の過剰摂取で血が緑色になった男(FILE-126)など「世界びっくり話」まで一事が万事急須の番茶。
ちなみに収録記事中でのお気に入りは、FILE-16「死の谷で延々と動き続ける巨岩 ムービングロックの怪現象」とFILE-80「次々と漂着する靴を履いた右足 現在進行形の怪奇 バンクーバー片足漂着事件」の2つ。いずれもなかなかの不思議具合、「ムービングロック」「バンクーバー 片足」でヒットするようなので、興味がある方はググってみるべしみるべし。
« 怪獣の出てこない 『怪獣文藝』 東 雅夫 編 / メディアファクトリー 幽ブックス | トップページ | 「コウダクミ」を漢字で書きなさい 『地アタマを鍛える スゴイ就職試験』 盛田珠実 / 講談社 »
「ホラー・怪奇・ファンタジー」カテゴリの記事
- 真夏(?)のホラー特集 その7 『変な家 文庫版』『文庫版 近畿地方のある場所について』(2025.09.26)
- 真夏のホラー特集 その6 『耳袋秘帖 南町奉行と百物語』 風野真知雄 / 文春文庫(2025.08.28)
- 真夏のホラー特集 その5 『英国幽霊屋敷譚傑作集』 コナン・ドイル、ラング他 夏来健次 編訳 / 創元推理文庫(2025.08.22)
- 真夏のホラー特集 その4 『日めくり怪談』(2025.08.14)
- 真夏のホラー特集 その3 『幽霊物件案内』『歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理』(2025.08.13)
« 怪獣の出てこない 『怪獣文藝』 東 雅夫 編 / メディアファクトリー 幽ブックス | トップページ | 「コウダクミ」を漢字で書きなさい 『地アタマを鍛える スゴイ就職試験』 盛田珠実 / 講談社 »


コメント