フォト
無料ブログはココログ

« 四肢は語る 『就職難!! ゾンビ取りガール(1)』 福満しげゆき / 講談社モーニングKC | トップページ | 竹の青きに 『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(現在2巻まで) 作・K.Kajunsky、漫画・ichida / PHP研究所 »

2013/03/01

マホガニックな愉しみ 『跡形なく沈む』 D・M・ディヴァイン、中村有希 訳 / 創元推理文庫

Photo買ってきたばかりなので、書評ではない。

ディヴァインは、この十年を振り返っても、もっとも読み応えのあった、いわば「当たり」のミステリ作家。
ただ、ミステリというジャンルは、出来がよければよいほど、プロットやトリック、つまりはその特長をそのまま紹介することができない。このブログでも何度かディヴァインを取り上げようとしてきたが、たいていカバーに載っているようなあらすじをまとめる途中で力尽きていた。
今回はそんな努力もしません。なにしろまだ読んでないものね(←なにをエラそうに)。

ディヴァインの長編では、犯人を示す矢印がそこかしこに張ってあるにもかかわらず、いつも見事に誤誘導されてしまう。『悪魔はすぐそこに』、『兄の殺人者』。『五番目のコード』でも同じことがいえるが、タイトルの「コード」にあたるものが日本では日常的でないため、ややイメージがつかみづらい。
読後、思わずあちらこちらとページをめくり返してしまったのが『ウォリス家の殺人』。中年に差し掛かった登場人物たちの倦み疲れた表情とそこに射すほのかな光明。そういった大人小説(?)としての粘度の高い読み応えの上に非常に高度なフーダニットが圧着バイメタルされている。しかも犯人がわかってみると、その人物以外にあり得ないと思われるほど細部まで正直に書かれていたことがわかる。巧い。

これほどの作家がなぜメジャー扱いされてこなかったのか、理解に苦しむ。しいていえば饒舌なシリーズ探偵など登場し得ないほど、ミステリとしては重く、苦すぎたためか。そこがいいのになー。
いずれにせよディヴァインに未訳が残っているというだけで、新刊チェックにいそしむ日々のモチベーションも高まろうというものだ。

« 四肢は語る 『就職難!! ゾンビ取りガール(1)』 福満しげゆき / 講談社モーニングKC | トップページ | 竹の青きに 『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(現在2巻まで) 作・K.Kajunsky、漫画・ichida / PHP研究所 »

ミステリ・サスペンス」カテゴリの記事

コメント

なんと!  木曽のあばら屋様。
いらっしゃいませ。
「本の感想小屋」、いつも楽しく拝読させていただいております。
ことにクイーン「インド象の謎」にはエビぞってしまいました。

ディヴァインはいいですね。
いつも、読み終えるのがもったいなくてじっくり味わいたいのですが、ついついページをめくってしまいます。
創元推理文庫にはゆっくりでいいので全作踏破をめざしていただきたいものです。

こんにちは。はじめまして。
本日読了しました。
今回も面白かった!
ディヴァインは期待を裏切りませんね。
私も「ウォリス家の殺人」の端正でありながらアクロバティックなフーダニットに
魅了された口です。
「ロイストン事件」とか、復刊されませんかねえ。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/547008/56861981

この記事へのトラックバック一覧です: マホガニックな愉しみ 『跡形なく沈む』 D・M・ディヴァイン、中村有希 訳 / 創元推理文庫:

« 四肢は語る 『就職難!! ゾンビ取りガール(1)』 福満しげゆき / 講談社モーニングKC | トップページ | 竹の青きに 『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』(現在2巻まで) 作・K.Kajunsky、漫画・ichida / PHP研究所 »