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2013/03/18

追悼 銭形のとっつぁん 『警部銭形 星屑のレクイエム編』『同 10番街の殺人編』 原作 モンキー・パンチ、作画 岡田 鯛 / 双葉社 アクション・コミックス

Photo_25日、声優、俳優の納谷悟朗氏が亡くなった。
痛恨に耐えない。

「ルパン三世」シリーズの銭形警部や「宇宙戦艦ヤマト」の沖田艦長の声アテで知られるが、調べると「鉄腕アトム」の時代から活躍されていたとのこと。洋画はもちろん、この国のアニメをずっと支えてきていただいたことがわかる。
沖田艦長の

  地球か、何もかもみな懐かしい。

はじめ、名セリフも多い。銭形警部にいたっては、ほとんどすべて名セリフと言ってよい。

カリ城はじめ、何作かビデオを見直した。笑いつつ、体の一部がむしり取られたように寂しい。
勢いで銭形警部を主人公とするスピンオフ作品まで購入してきた。
(亡くなったのは納谷悟朗であって銭形警部ではないのだが……)

『警部銭形 星屑のレクイエム編』『警部銭形 10番街の殺人編』には、それぞれ双葉社の「ルパン三世officialマガジン」に掲載された短篇3作が収録されている。
構成は刑事コロンボや古畑任三郎で知られるいわゆる倒叙モノで、まず犯人が殺人事件を起こし、そこにルパンが絡んでいるとの情報を得たICPO(インターポール)の銭形が登場、あきれられつつ犯人を突きとめ、追い詰めていく、というストーリーである。

細かいアラを指摘するなら銭形のまん丸い目やその下のオタク線ってどうよ、とか、一部のストーリーが松橋犬輔作画の『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』からのパクリでしょ、など、ないわけではない(犯人が自白にいたる証拠が弱くて公判維持が難しそう、というのはコロンボや古畑でも同様だし、そこは問いません)。しかし、銭形の毎回の登場シーンが

  ムムッ!
  人死にが出とるのかね…?

のセリフで始まるなど、全体に「銭形感」は醸し出せており、ルパンに対しては全敗でも、実は銭形が極めて優秀な警部であることがうかがえて嬉しい。もちろん、銭形らしい人情味も犯罪者に対する気骨も堪能できる。スピンオフとしては及第点かとも思う。

それにしても──
ある作品のラスト、犯人の、コンビなんてものはどちらか一方が死なないと終わりにならない、とのセリフに、銭形がルパンの不敵な表情を思い浮かべるシーンがあるのだが、元祖ルパン役の山田康雄に続き納谷悟朗まで失って、僕たちはもう、原作者の思惑さえ超え、作画、テンポ、声優、音楽等が一丸となった「あの」ルパンの新作を見ることができない。
どんな死地にあっても

  にゃにおうっ

とルパンを追う不屈の銭形警部はもういない。

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