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2012/12/28

伝統工芸 『ゴースト・ハント』 H・R・ウェイクフィールド、鈴木克昌 他訳 / 創元推理文庫

Photo 怖さより技巧を味わいたい、という意味で、これも冬に読むのが似つかわしい怪談集。
 H・R・ウェイクフィールド(1888~1964)はレ・ファニュやM・R・ジェイムズらの系譜を継ぐ英国正統ゴースト・ストーリーの最後の担い手であり、逆に言えばそのため晩年は不遇だったようだ。作品集は今では本国でも大半が絶版らしいが、黒檀を磨き上げたような文体で綴られる怪談は一種贅沢な時間を供してくれる。
 作者自身の経験から、「そこに住む者が庭を走って川に身を投げる」古い西洋館を素材にしたものが少なくない、など、怪異のパターンはややバリエーションに欠けるが、幽霊屋敷探訪を実況中継したラジオリポーターがどんどん壊れていく表題作「ゴースト・ハント」のような垢抜けたショート・ストーリーから「湿ったシーツ」「不死鳥」などの復讐譚、「暗黒の場所」のように意図的に怪異の説明を控えたもの、あるいは「通路」のようなSF風異次元ものまで全18編、それぞれ小振りな中にも作者の展開の技が冴える。多くの作品で怪異を正面から描かなかったことが普遍性につながった。
 個人的には、少年が片腕を奪われる「最初の一束」を好もしく思う。最後の見開き、濡れた灰のような濁ったものに侵された気配が見事。

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