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2012/12/05

マンガばかり読んでると 『マグマ大使(全2巻)』 手塚治虫 / 秋田書店サンデーコミックス

Photo 60年代のマンガ、アニメについて、疑問に思っていたことがある。
 同じ手塚作品でありながら、アトムやレオに比べ、なぜ『ビッグX』『W3(ワンダースリー)』『マグマ大使』はこうも顧みられないのだろう。

 無論、それなりの理由には見当がつく。
 敵も味方もドイツ・ナチの影を曳く『ビッグX』をCMに起用するには勇気がいるだろうし、『W3』は主人公が地球人の少年なのか動物の姿を借りた3人(?)の宇宙人なのかはっきりしない。『マグマ大使』の実写版は球団キャラクターにするには古めかしいし、1話完結で怪獣をばったばったと倒した同時期の『ウルトラマン』に比べて展開のもどかしさもあった。

 その『マグマ大使』の単行本だが、たかが2巻とあなどってはいけない。
 地球の創造主アースが生んだ正義のロケット人間、マグマ、モル、ガム。地球侵略を企む超絶的な宇宙人ゴア。時間や次元さえ操るゴアの命令で暴虐を尽くす怪物たち。ゴアの意外な弱点。人間そっくりの姿で東京を乗っ取ろうとする人間モドキ。その人間モドキが巻き起こす疑心暗鬼。ゴアや人間モドキに対し、くじけず戦いを挑む少年まもる。そして、これらすべてにあふれる躍動感。

 久しぶり(何十年ぶり)に読み返して、不覚にも理解できてしまったのは、当時の大人たちがよく口にした

   マンガばかり読んでるとバカになるよ

その感覚だ。
 『マグマ大使』は今読んでも面白いし、テンポも速い。しかし、サンデーコミックスのカバーでいみじくも手塚が語ったとおり、この作品は「たいへん都合のよい設定ではじめた、一種のでたらめ」である。こんなふうに手放しで破天荒、奇天烈な作品は現在ちょっと思い浮かばない。そんな荒唐無稽な、つまりマンガ本来の破壊力に満ちたマンガばかり読んでいると、軸のしっかりしていない子供のなかには……確かに迷走する者もいるかもしれない。
 その「迷走」の逆こそ、親や社会の敷いたレールを進む、ということなのだが。

 ところで、素朴な疑問をもう1つ。
 「マグマ」はともかく、「モル」「ガム」の名はどこからきたのか。なぜ誰も不思議! と騒がないのか。

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