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2012/10/22

オセロな好短編集 『式の前日』 穂積 / 小学館フラワーコミックスα

Photo 今朝(10月21日、日曜日)の朝日新聞書評欄のコミックコーナーには、米田達郎『リーチマン』が紹介されていた。
 講談社、モーニングに掲載中の『リーチマン』は、フィギュア造形師を志すガタイのいい主人公が「主夫」を務める、夫婦の機微を描いた作品である。書評はおおむね好意的ではあったが、単行本に対しては次のような突っ込みがあった。

  ただ、〈ダンナが主夫でもふたりは幸せです!?〉(傍点評者)との帯の惹句には違和感あり。同様の屈託が主人公にもあるにせよ、主夫に失礼だと思う。

 いや、評者の南信長さん、主夫だけじゃなくって主婦に対しても失礼だってば。

 ところで、帯の惹句への「違和感」といえば、最近どこかほかのところでも……と、記憶をたぐって本屋に走る。小学館の『式の前日』の帯である。

  鮮烈新人・穂積、
  デビューコミックスにて最高傑作

 まるで今後これ以上の作品は描けないみたいだが、それでいいのか月刊フワラーズ。
 『リーチマン』といい、最近は帯の惹句はダブルチェックを受けないのか。受けてこの程度なのか。

 と、持ち上げられているのか下げられているのかわからない『式の前日』だが、収められた6つの短篇はいずれもすこぶる好編である。
 表題作「式の前日」では、古い木造家屋で結婚式の前日をしみじみと過ごす「二人」が丁寧に描かれる。しかし、作品の最後にちょっとしたどんでん返しが用意されており、それですべてのコマの意味がパタパタとくつがえる。続く「あずさ2号で再会」ではさらにそのオセロのごとき「めくられ」感が深い。

 残る作品も、絵柄こそ地味ながら、その分NHKの深夜帯のドラマに仕立てたらさぞかし、などと思わせる静かなリアリティに満ちる。
 帯の背表紙側では「沁みる」「泣ける」と読者からの感動の声の嵐だが、この作者の本領はむしろテクニカルな悪戯なのではないか。現在長編を連載中とのことだが、今後とも趣味に任せた意地悪な「最高傑作」を発表し続けてほしい。ぜひ。

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