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2011年12月の6件の記事

2011/12/31

2011 総括

申し訳ないが形骸化した「がんばろう」「元気をもらった」には少しうんざりしている。
それより全国から寄せられた義援金の収支決算をそろそろ明らかにしてほしい。いくら集まったのか。いくらどこに渡したのか、何に使われたのか。
誰もがすぐに見えるところに結果を公開するのは集めた者の最低の務めだと思うのだが違うだろうか。
コンビニの1円募金だって1円単位で報告されている。それが自然かと思う。


僕は静かに本を読んですごしたい。そんな心持ちでなければ読めない本がある、そんな本ばかりが棚に手つかずで残る。

来年。
(戦闘モードは解除できるの?)
さあね。
さてね。

2011/12/29

輪になって壊れりゃ怖くない 『ふたり狂い』 真梨幸子 / ハヤカワ文庫

Photo_3 こちらは『殺人鬼フジコの衝動』でやはり今年ブレークした真梨幸子(まりゆきこ)の文庫新刊。

 すがすがしいばかりに壊れた(壊された)男女をピックアップした読み切り短編が1つ2つ……と読み進むうち登場人物たちがロンドを踊り始め、誰が加害者誰が被害者、全体では狂気の花束ならぬ悪臭を放つ大きな花環となっていることが明らかになる。何が凄いって、全貌が明らかになってもカケラも爽快感が得られないことなのだけれども。

 作者の文章はときどき時間や場面が経過しているのになんの断りも接続詞もなくそのまま続くことがあって、長編ではちょっといらっとさせられる。それが短篇では乾いたスピーディな印象を招いて気にならない。もっとも本書ではいやな展開、うとましい精神の崩れようが入れ替わり立ち現れるので、いちいちウェットに立ち止まらず、一気に読んで片づけてしまったほうがよさそうだ。それでも油断すると、読み手も登場人物たちと同じようなめに遭ってしまうかも。それが表題の意味でもあるようだ。

 各篇のタイトルは「エロトマニア」「クレーマー」「デジャヴュ」など、精神病理に関するカタカナ用語からとられている。巻末に記載の<参考文献>の1冊が本ブログでも以前取り上げた春日武彦『ロマンティックな狂気は存在するか』で、おやおやあの本にこのような「用途」があったとは。『僕たちは池を食べた』など小説家としての著作もある春日武彦もしてやられた気分ではないか。もちろんこのアイデアはもともと僕のものだったのだが、幸子はいったいいつどうやって愛する僕のパソコンを覗いて僕の頭の中を頭の中で頭。

2011/12/27

クマにしてやったことを、私にも 『アミダサマ』 沼田まほかる / 新潮文庫

Photo 近頃巷に流行るもの、“ネガティブ・エンタ”をいくつか。

 『アミダサマ』は、今年『九月が永遠に続けば』や『彼女がその名を知らない鳥たち』でブレークした沼田まほかるの文庫新刊。
 産廃処理場の冷蔵庫から発見された幼女、その周辺で凶事が相次ぎ……という本作は日本では珍しいゾンビ小説で──と書いてしまうとネタばれになってしまうが、その程度では、この、先の読めない作品はびくともすまい。それより前作『猫鳴り』であれほど崇高に描き上げた猫の死を、今度は惜し気もなくこの扱いかよ、沼田こえー。
 ただ、女の臓腑を切り出して晒したような他の作品に比べると、『アミダサマ』はやや引き出し多すぎ。怖いのは人なのか超常的な存在なのか、この作家にしては思い切りが悪い。その分☆1つ減らして、ってここはAmazonではありませんでしたね。

 ところで、沼田まほかるや『殺人鬼フジコの衝動』の真梨幸子が売れたことに、不況のせいだの、震災の影響だの、あれこれ理屈を唱える方もおられるようだが、そもそも世間が腐臭に群がるのはテレビのワイドショー見ても明らか。女流作家のヒット作にしても、たとえば湊かなえ『告白』、少し前なら桐野夏生『OUT』、グロテスクなものは人を引き寄せるのです。

2011/12/20

GO!GO!正日君

 現在ほどにはブロードバンド回線が普及していなかった10年ばかり昔、「にらけらハウスっ!」というホームページがあった。残念ながらもうネット上にはないんですけどね。

 「にらけらハウスっ!」はにらちづるとけらだんなのコンビによるコミックサイトで、その代表作は不定期連載の「GO!GO!正日君」。……そう、あの正日君が主人公だ。

 第一話は独裁に飽きた正日君が
  南侵しちゃおっかなぁ~
とつぶやいて終わるし、拉致問題を取り上げた第二十八話はオープニングから
  ♪と~れ とれ ぴ~ち ぴち 外国人ん~
だし、第四十二話ではトロピカルなビーチでビキニの土井委員長を正日君が「まてぇ~ たか子ぉ~」と追いかけて、やがて二人は……。

 当時は「にらけらってそのうち暗殺されるんでないの」と噂されたものだが(本当)、案外無事だった。よくほっといてもらえたものだと今でも思う。

 それから10年──
 かの国で本物の正日君は死んでしまったが、僕の記憶装置に自爆キャラ「GO!GO!正日君」は今も生きている。

  テポドーン
   ええじゃないか
   ええじゃないか
   ええじゃないか

   てぽどーん
    ええじゃないか
    ええじゃないか
    ええじゃないか

2011/12/19

いかにわたしが叫んだとて 『天審』(1巻) 原作 外薗昌也、作画 久世 蘭 / 講談社ライバルKC

Photo 天国、地獄にかかわるコミック作品をもう1つ。
 朝日新聞先週の日曜書評でいー感じに紹介されていたのでさっそく家政婦に命じて取り寄せてミタ。

 鋭利な翼をふりかざす凶暴な美少女。彼女を飼育する冷酷な科学者ムスカ(←ちょっとしたミス)。お約束どおり背後にはアヤしい巨大組織がうごめいている。背中にはえた肉腫にうろたえつつ平凡な日々を送ろうと試みる少年。
 ……だめだめ。古代からの伝承に想を得たSFマンガなど今どき目新しいわけもなく、残念ながら「天使が凶暴」「交尾相手を探している」程度では誰も驚かない。

 問題は描写と展開だ。

 キャラクターは、弱い、というか、軽い。
 少年の肉腫の形態はなかなかユニーク。だがその進化形と思われる少女の翼の付け根は肩甲骨にヤドリギが生えたようでいただけない。驚異的な破壊装置、飛行装置を支えられるようには到底見えないのだ。少女はその翼で気にそまぬ人間を壁や車ごと切り裂く。しかし、そのオノマトペに工夫がない。「スパッ」「バサッ」「ドッ」、これでは切れ味が悪そう。もっと耳障りな高音でなくては。

 展開については、1巻の終わり方が意外といえば意外。少女より、少年より、さらに高次元の存在がこのあと登場するということか。ちょっと面倒。話を野放しに広げるのでなく、小さな生活圏で少年の苦悩を追えるだけ追う、ということも必要ではないか。

 帯にライナー・マリア・リルケの『ドゥイノの悲歌』をもってきたのは、マンガの惹句としては秀逸。早い話がカッコいい! もちろん、『天審』がリルケの天使の高位な「おそろしさ」に若干なりとも迫っているかといえばそうではないのだが、それはないものねだりというものだろう。表紙カバーはモローかしら。

2011/12/14

地獄の沙汰もピーチ・マキ 『鬼灯の冷徹』(現在参巻まで) 江口夏実 / 講談社モーニングKC

Photo 最近のギャグマンガでは一番のお気に入り。

 宗教的な薀蓄背景に落ち切らぬギャグ、といえば、ブッダとイエスが立川の安アパートライフを楽しむ『聖☆おにいさん』だが、おにいさん達は最近ハスな構えぶりが鼻について若干鬱陶しい。一方「閻魔大王の第一補佐官 鬼のなかでもトップの鬼神」たる鬼灯(ほおずき)を主人公に立てた地獄の絵日記『鬼灯の冷徹』は、登場人物(獄卒)たちが意外や生真面目で、懸命なギャグの身振り手振りも好感を招く。
 鬼灯は冷酷、ドSという扱いにはなっているが、鬼がサディスティックで何が悪い。むしろ新人獄卒や動物たちへの対応は丁重で、単に冷静、業務に忠実なだけなのである。

 ……などなど、いつものように知ったかぶりなことを書きつらねてもみたが、なにより登場人物たちのピスタチオを食べてるような口元がかわいい。個人的には「地獄のチップとデール」唐瓜と茄子が登場する話、とくに茄子の天然ぶりが楽しくて好きだ。壱巻第6話「鬼とパンツとカニ」など何度読んでも意味不明な展開によじれる。
 掲載誌では人気が出たようで表紙を飾ったりもしているようだが、どうか浮かれないで地味な作風を保持してほしい。

 ちなみに、参巻にさらっと書かれた注釈に苦笑い。思い当たる方面の御仁は気をつけよう。
  殺殺処(せつせつしょ)…婦女子に酒を飲ませてファイト一発した奴が堕ちる地獄

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