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2011/07/11

『出版大崩壊 電子書籍の罠』 山田 順 / 文春新書

Photo  へたれ。

 活字離れ、過剰流通、電子書籍など、出版業界の問題と未来を語る書物はできるだけ手に取るよう心がけている。本書はその中ではどちらかといえば敬意を払うことのできないものだった。
 要するに、かつて光文社で編集に携わっていた著者は、数年前のiPhone、iPadの登場にショックを受けて電子書籍の普及を扇動する側にまわり、数年を経て、思うような利益構造が得られない状況を「罠だった!」と騒いでいる。そういうことだ。

 編集者や新聞記者は、ときに(いつも?)自分たちの経験と表現力が読み手を誘導しているように思い込んでしまうようだが、そうではない。選択権は常に読み手にある。追い掛けているのはプロのほうなのだ。活字離れが起こっているのではなく、旧態依然とした新聞や雑誌が読まれなくなっただけだし、従来の大手出版社の手法ではヒット商品が出せなくなっただけ。「電子出版」にストーリー性の高いRPGやアドベンチャーゲーム、あるいはブログやケータイ小説を含めるなら、革命はとっくに始まっている。「本」の体裁をしていて利益が出るものを制作、配布することだけを「出版」と思い込むほうが古いのだ。

 本書においても、そこかしこに「読み手はこれまでのプロの提供するものを読んでいればよいのだ」的驕慢な言い回しが見え隠れする。詳細に指摘しようかとも思ったが、面倒なのでやめておく。
(なお、本書で問題とされていることなら、このブログに昨年11月にアップした「電子書籍について気になるいくつかのこと」(その一からその七まで)においておおむね指摘済み。つまり、門外漢にもその程度ならすぐ先読みできるということだ)

 一つ、指摘しておきたい。
 『出版大崩壊』とは、大手出版社、流通、印刷業界に起こりつつあった出口のない混乱を描いた小林一博のドキュメンタリーのタイトルである。10年前、出版業界にそれなりに衝撃を与えた書籍のタイトルを芸もなくそのまま使ってしまうのは、不勉強か無神経のいずれかだろう。iPadでAmazon.co.jpにアクセスすれば1分もかけずにチェックできることなのだから。

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