うあー 男前だな── 『オールラウンダー廻』(現在6巻まで) 遠藤浩輝 / 講談社イブニングKC
少し前までは白い手袋に拡声器しょって「ご町内の皆様、今スポーツマンガで一番面白いのは、日本橋ヨヲコ『少女ファイト』、『少女ファイト』でございます」と連呼しつつ歩いていたのだが、ドブに落ちたりえいうるさいと生タマゴ投げられたりでどよどよしているうちにいつの間にか『少女ファイト』のほうでスポーツマンガでない要素が半分を越してしまった。最近はちゃりらんと宗旨替え。風見烏と呼んで。おーほほほ。
とゆーわけでー、今、一番面白いスポーツマンガは『オールラウンダー廻』。500どんぐり賭けてもよろしくってよ。
遠藤浩輝の作品は絵も巧いしストーリーもよく練られているが、その主題が極道モノだったりインナーワールドなSFだったり、つまりは少しってゆーかかなりってゆーか粘度が高く、人間も五十を過ぎるとどうもそういうのは胃にもたれてねえとやんわり敬遠してきた。短編集(かなりエッチだ)は比較的口にしやすいのだが、それでもコマとコマの間に隙間があって喉越しが重い。流れない。マンガ(1回分)を描く、より、ページを埋める、より、1コマ描き込むことに重点、な印象。そのため無闇にギックリシャックリしてしまうわけだ。
……とかいうのを全部とっぱらい、窓を開けて風通しよく作品打ち上げたのが『オールラウンダー廻』。コレハヨイ。
主人公の高柳廻(めぐる)は総合格闘技「修斗」のジムに通うが、今一つ勝負に対する執念に欠ける。基礎体力や技術もまだまだで、アマの大会でもなかなか勝ちきれない。1巻では主人公のライバル、山吹木(瀬川)喬とヤクザのからみにまだ従来のどろどろ重暗い読み味が残るが、ジムの打撃基礎クラスの指導者として絹川まりあ、さらに女子キック選手のマキちゃんが登場した2巻の冒頭あたりからはノンストップ、めったやたら面白い作品と化して現在にいたる。よく読めばそれぞれの登場人物に重いセイシュンをしょわせていたりはするのだが、練習と試合各シーンの面白さがそれを上回る。
以前読んだ雑誌の書評欄で誰かが「面白いを連発するだけの書評はダメ」というようなことを書いていたが(当たり前ですね)、今回ばかりは「面白い」の連呼で許してもらおう。なにしろ1巻さえクリアできれば続きは向こうから跳んでくる。現在6巻まで。読みごろだーあんあんあんあん(エコー)。
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