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2011/07/26

それがあたりまえの日常 『とりぱん』(第11巻) とりのなん子 / 講談社ワイドKCモーニング

11 『とりぱん』は最近取り上げたばかりだが、11巻はポイントが高いのでもう一度。

 まず、巻頭すぐに収録された「私の小規模な鳥活」、これが凄い。
 同じモーニング掲載の福満しげゆき『僕の小規模な生活』を被うようにパクって『とりぱん』1回分を描いたもので、たった4ページながら、福満がトリビュって『とりぱん』を描いたのか、とりのがとり憑かれて『僕の小規模な生活』を描いたのか、わからない、そんな、目眩息切れを誘う1作である。欄外の福満からのメッセージもいかにもらしくて「ファファーン」だ。

 次いで、巻末の100コママンガ。
 サイン会で1人1枚(=1コマ)配ったセリフなし作品、つまり手に入れた方(うらやましい)は全貌を誰も知らなかった、というものらしい。原画は配ってしまったため、本誌収録もコピーから、なのだそうだ。ストーリーは、ドラ猫とカモのヒナの交情、というか、泣いた赤鬼というか、よくあるといえばよくある話なのだが……わかっていてもうなってしまう。巧い。45コマめがいい。

 そして最後に、東日本大震災に際しての作者の周辺を描いた回が収録されているのも、この11巻である。
 作者は東北といっても比較的被害の軽微な地域に住んでいたもようで、しかも停電のため、あの映像を2日間も見聞きせずに済んでいる。だが、震災の前後を淡々と描いたこの数ページの静かさは圧倒的だ。
 「私は また 普通の日常を 描いていこう」と記して、その後また普段どおりほんわか愉快な作風に戻したとりのなん子。これはその作家としての底力と(思いがけない)凄みを垣間見せた集積度の高い1冊といえるだろう。

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