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2011/06/13

夜の海に光る 『虫と歌』 市川春子 / 講談社アフタヌーンKC

Photo【ヒナ流れ星でした】

 目先のわかりやすさなど知ったことかのアフタヌーン作品群、その中でもかなり読み手の読解力を要求する作品集である。SFや幻想小説をある程度読みこなすだけの素養がないと、両目がハテナマークになって最後まで読み通すのもつらいかもしれない。
 それでも、収録4作品中、「星の恋人」や「虫と歌」は、どこからこういう特異な世界観が湧いて出たのか見当もつかないまでも、まだ、誰が主人公で何が切ないかくらいはわかる。しかし、「ヴァイオライト」にいたってはもはやストーリー展開そのものが理解できない。

 というわけで、ほかは無理なら無理でしょうがないので、残る「日下兄弟」、60ページ程度の短編なのだが、これだけは機会があれば、もとい機会を設けてぜひとも読んでいただきたい。

 心に折れかかった枝をかかえたまま投手を続けて肩を痛めた高校生と、カタカタした奇妙な形の異星人との出会い、生活、そして別れ。ストーリーは一本道だし、他の作品に比べれば解読困難なコマは少ない。とはいえ、その異星人ヒナ(が小さな妹に見えてくる摩訶不思議)の挙動、野球部員たちのすべりまくる会話などなど、あらゆるコマがさりげなくも超絶的で椅子の横にひざまずいて帽子をとってヘソを噛みたくなって、そんなこんなで首を傾げつつさざ波に翻弄されているうちに152ページから153ページの見開きに絶句してしまう。泣いてしまう。

 これはもう、作者の勝ちです。

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