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2011/05/22

戦闘上等! 『図書館戦争』『図書館内乱』 有川 浩 / 角川文庫

Photo 先月末、角川文庫から2冊同時に発刊された「図書館戦争シリーズ」、読み出したら止まらねー止まらねー。ほかの作品にも手を出して、今週はさながら有川ウィーク。来週も引き続き鞄のポケットは有川本で埋まりそうだ。

 「図書館戦争シリーズ」は全6巻、公序良俗を乱す表現を取り締まる「メディア良化法」をかたに書籍・雑誌の検閲を執行するメディア良化特務機関と、それに対して本と本を読む権利を守ろうとする図書隊の、銃撃戦、政争まで含む抗争を主軸とする。

 有川浩(女性なので「ひろし」ではなく「ひろ」)は、もともとライトノベル作家。高知県出身。現実にはあり得ない設定を立ててストーリーを展開する最近の若手作家の一派とみなせなくもないが、『太陽の塔』『夜は短し歩けよ乙女』の森見登美彦、『鴨川ホルモー』『鹿男あをによし』『プリンセス・トヨトミ』の万城目学、『となり町戦争』『失われた町』の三崎亜記らに比べると、文学のシッポをつけていない。はっきりいえばマンガだ。
 なにしろ、図書特殊部隊に配属されたヒロイン笠原郁の設定にして、
   高校生の時に窮地を救ってくれた図書隊員(=王子様)に憧れ、いつか会える日を夢見て入隊
である。この王子様が、彼女に厳しい鬼教官であることも、もはやお約束。
 だからこの作品に、表現の自由や検閲について深いものを求めてもしょうがない。マンガと割り切って、次々訪れるピンチとそれを突破するスピーディな展開、さらに「いたた…」と苦笑いしたくなるよなベタなラブストーリーを楽しめばよいのだ。とはいえ、女流マンガ家の一部が、思いもかけないほど論理的かつ込み入ったストーリー、ことにセリフの妙を描いて突出するように、本シリーズも油断していると足をすくわれる。ともかく細部にわたってべらぼーに面白い。

 「子供だまし」ではない。立派な「大人だまし」である。

 なお、角川文庫版では、巻末に、読書家としても知られた俳優の児玉清氏と作者の対談が掲載されている。アタックチャンス、は、もう二度と宣言されない。黙祷。

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