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2010/12/06

電子書籍について気になるいくつかのこと その六 のおまけ

 ところで、そもそも、編集者とはいったい何者なのか。

 原稿やゲラを校正する者? ……校正能力、それどころか日本語能力に問題のある編集者も少なくない。原案となるストーリーを考えたり、直接原稿を書き換えてしまう編集者もいれば(極端な話、著名人の名前だけ借り、ゴーストを手配して本を仕上げるのも編集者の仕事である)、作家の書いた原稿を受け取って印刷屋に運ぶだけという者もいる。個々の作業は校正者、レイアウタ、進行担当などの専門家に任せて自身は映画館と書店に入り浸るような豪の者はさすがに生き残っていないか。

 こんなふうに、作業の中身やボリューム、密度で編集者の仕事を規定しようとすると、混乱に陥るかもしれない。同じ出版社でも、編集部によって編集者の立ち位置がまるきり違うことだってある。同じ編集部に属しながら、仕事の仕方がまったく異なることも珍しくない。

 こんな考え方はどうだろう。
 編集者とは、トランプでいうジョーカーのような存在である、と。

 つまり、フィクションであれノンフィクションであれマンガであれグラビアであれ、主たる作者やライターやカメラマンが作品を構成するために足りないところを埋め合わせ、よりよく、より早く、より売れるべく作品を形づくるために働く者。だから、誤字脱字の多い作家なら校正が必要だし、文章を勝手にいじられるのを厭う作家の原稿には手を出さない。税金対策や住まい、××の手配まですることもあれば、単なる運び屋で十分な場合もある。アドバイスや励ましが必要な作家にはこまめな連絡を、放置すべき作家には自由な時間を、スケジュール管理の必要な(つまりほとんどの)作家に対しては、電話魔となる。

 騙し絵の一種に、中央に壺が1つある、ところがよく見るとその壺の形は左右の人の横顔のシルエット、というのがある。これは壺の絵なのか、顔の絵なのか。新刊の本や雑誌は、壺とシルエット、どちらが実とも影ともいえない補完された作業の上に成り立つものだ。もちろん、編集者の役割はすべて影の側に属す。

 今後広まるであろう電子書籍の時代に、影の役割を果たすのは誰だろう。壺の数が飛躍的に増え、その形が変化して定まらないとき、影はうまく機能できるだろうか。

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