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2010/12/14

絶望の深さ 『進撃の巨人』(現在3巻まで) 諌山 創 / 講談社コミックス

 たぶん、今年最大の(ただし最高のかどうかはわからない)話題作。
 「凄まじけりゃいいってもんじゃないだろ」と悪態の一つもつきたくなるほど、とにもかくにも壮絶な作品である。

 人類は107年前、突如現れた「巨人」たちに捕食され、絶滅寸前まで追いやられた。築き上げた三重の壁の中に逃げ込んでようやく百年の安逸を得るも、桁違いに巨大な大型巨人の出現によって外側の壁が蹴り破られ、さらに内側の壁の中まで追いやられてしまう。兵士団の絶望的な戦いに勝機はあるのか、人類は「外」を取り戻すことができるのか……。

Photo  作者 諌山 創(いさやま はじめ)の作画はお世辞にも巧いとは言えない。その分、ボッシュやブリューゲルが描いてみせた夢魔跳梁の香配が漂う。第3巻からの引用となる添付画像は、巨人の手足の短さなど、滅茶苦茶といえば滅茶苦茶だが(まるでカエルだ)、その分、兵士を口にくわえた巨人の知性の欠落、無慈悲とすらいえない動物性がよく表れている。巨人たちは焦点の合わない目で市街を襲い、人間をみかけると無造作に摘み上げて食べてしまう。
(巨人たちの外見は白人の男性ふうで、身長は15m級、7m級、5~4m級とまちまち。人を捕食するにも一飲みにする場合もあればパキパキと手足胴を噛み折るもの、両手で捕らえて頭からかじるものとある。小海老を呑む大小の魚の如しだ。)

 一点、「絶望」について触れておきたい。アクションマンガなら次から次へと危機が出現することに不思議はない。しかし、おおかたの作品において、読み手は、主人公の資質をもってすればこの危機も突破できるに違いないと実はそれほど心配していない。
 だが、『進撃の巨人』の絶望の深さはただごとではない。第1巻、オープニング後間もなく主人公は奈落の底に突き落とされ、さらにその巻末では読み手がうろたえる展開が待っている。2巻では主人公を慕うヒロインが活躍するが、彼女の冷たい瞳の奥にもやはり底なしの絶望がある。

 こういった作品については、一刻も早く先を読みたいと思うのが普通だが、正直に申し上げれば単行本が十巻か二十巻かで完結するまで読みたくないのが本音だ。『進撃の巨人』は、それほどまでに荒く、暗い。

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