さもしき悪意、愚鈍な善意 『新・御宿かわせみ』 平岩弓枝 / 文春文庫
【その昔の、東吾をみるようじゃな】 ←読み手にはぜんぜんそう見えません
前作から6年の月日が経ち、時代は一気に明治。
その間、東吾は行方不明となり、宗太郎と花世を除く麻生の一族は惨殺され、事件を追った源三郎も何者かによって非業の死をとげている。
これは本当に同じ作者による『御宿かわせみ』の続編なのだろうか。
思うに……。
『御宿かわせみ』とは、江戸の古地図の上に春秋の風俗、習わしを蒔きつけ、その上に身分制度や因襲にこだわらない善良かつ聡明な人々を配した、心なごむお伽噺だった(過去形なのが悲しい)。新シリーズでは桃源郷はもろくも瓦解し、粘土顔の男女と身勝手な若者が残るばかりだ。
しばらく引っ張るかという予測に反し、麻生家を襲撃し、源三郎を殺害した下手人はこの1冊の中であっさり判明してしまう。しかし、その動機はとことん浅ましく、身も蓋もない。かつて、本シリーズにおける陰惨な事件のいくつかが、実はやむにやまれぬ人情沙汰の果てだったことが今となっては懐かしい。
数十年にわたって編み通された名作を何もこう一気に貶めなくても……とまで言っては言いすぎか。いや、それにしたってこのぼんくら麻太郎におたわけ花世はないだろう。
平岩先生。
病気療養中に版社が無断で数冊代筆に書かせたことにするなら今のうちです。今なら、まだ間に合う。
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言えてるね。
投稿: | 2013/03/01 14:58