フォト
無料ブログはココログ

« 夏なのに (;゚Д゚))))ガクガクブルブル 鬼籍通覧シリーズ『暁天の星』『無明の闇』『壺中の天』 椹野道流 / 講談社文庫 | トップページ | 麻生太郎、って何してた人ですかー 『大問題 '10』 いしいひさいち+峯正澄 / 創元ライブラリ »

2010/08/23

夏枯れ。 『九十九怪談 第一夜』 木原浩勝 / 角川文庫

Photo 【「いがいとかしこい」】 ←これにはワロた

 ベストセラーとなった『新耳袋 現代百物語』(中山市朗と共著)で実録怪談ブームの端緒を築いた木原浩勝の新シリーズ、第一巻。
 しかし、知人をたぐって得られた怪異体験を多数(編集操作で九十九話に見せている)収録した、という作りは全く『新耳袋』と変わらない。取材を受ける側が落ち着いてしまって、とくに新奇な印象が得られないのも『新耳袋』の後半と同じ。
 はっきり言えば、収録されたほぼ全作品が、とくに怖いわけでも目新しいわけでもない。

 そうなると、ほかのことが気になってくる。

 『新耳袋』やこの『九十九怪談』は、作者(編者)の創作でなく、体験者本人に取材して怪談を書き起こす、という手法で知られている。だが、『現代百物語 嘘実』を持ち出すまでもなく、人は往々にして嘘をつく。それも、嘘をついているという自覚もなしにつるつると嘘に嘘を重ねる。
 実話怪談の収集家は、たとえば、自身の来歴について虚言壁のあることで知られる人物が現れて怪談を語ったら、どうするのだろう。いや、そこまで複雑な状況でなくともよい。知人の知人が現れて、自分の体験として、世の中にあふれかえる古典的な怪談を口にしたなら(たとえば青山霊園前でタクシーに乗ってくる女の幽霊)、そのときはどうするのだろう。綿密に質問を重ね、矛盾をつき、当人の作為を削っていくのだろうか。しかし、生真面目な顔をして懸命に怪異体験を語る相手に対し、そんなことができるのだろうか。

 たぶん、できない相手もいるのだろう。『九十九怪談』には、そういう厳格な作業が行われたとは思えない、よくある怪談、ないしそのバリエーションが散見する。その限りでは、怪談そのものでなく、語り手本人の怖さにシフトした『現代百物語 嘘実』が(作品としての完成度は別として)一歩先んじて見えるのは事実である。

 とはいえ。夜中にドンドン窓が叩かれ、朝見てみると窓ガラスの外に白い拳の跡がついていた、とか、戦地の島で野戦服を着た日本兵を見た、とか、衣裳部屋のドアを開けるとうつむいた人がぎっしりと立っていた、とかいった話を「あるある」と怖がりもせずページをめくる読み手の神経もいかがなものか。もし、一人の夜に本当にそんな目にあったら……いや、考えないことにしよう。

« 夏なのに (;゚Д゚))))ガクガクブルブル 鬼籍通覧シリーズ『暁天の星』『無明の闇』『壺中の天』 椹野道流 / 講談社文庫 | トップページ | 麻生太郎、って何してた人ですかー 『大問題 '10』 いしいひさいち+峯正澄 / 創元ライブラリ »

ホラー・怪奇・ファンタジー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 夏なのに (;゚Д゚))))ガクガクブルブル 鬼籍通覧シリーズ『暁天の星』『無明の闇』『壺中の天』 椹野道流 / 講談社文庫 | トップページ | 麻生太郎、って何してた人ですかー 『大問題 '10』 いしいひさいち+峯正澄 / 創元ライブラリ »