夏だし。 『本当にあった30話! 葬儀屋が教えるココだけの怖い話』 オフィス・サンガ編著 / 宝島SUGOI文庫
【なんと亡くなったはずのSさんが一生懸命花をちぎって、M社長やYさんのほうに投げつけていたというのです。】
夏なので、怪談本を読む。
本書は実録モノの体裁をとってはいるが、昔ながらの創作怪談なのだろう。本当にプロの葬儀屋が体験した怪異譚なら、もう少し仕事上の手続きや具材についてのこまごまが現れてきそうな気がする(そういった話がまったくないわけではないので、葬儀屋の方に取材していないとまで断定するつもりはない)。
ただ、なんにしても、きちんと供養されなかった事故の被害者の霊が事故現場となったホテルに現れる……などといった話には、語り手が葬儀屋である必然性がない。
結局、多少なりともぞわっとさせられたのは、夜の葬儀場をさまよう少女や主の墓を守る落武者ではなく、引きこもりで肥満した息子の棺に「ノドがかわくでしょうに」と棺の底が抜けるまでペットボトルの水を汲み続ける母親や、亡くなって腐敗した夫の遺体と暮らし、部屋いっぱいのゴキブリやウジを踏んで歩く老婆のほうだった。
しかし、この夏もっと怖かったのは、次に紹介する……。
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