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2009/09/13

痛快時代劇 『2011年 新聞・テレビ消滅』 佐々木 俊尚 / 文春文庫

983 【要するに編集権をヤフーニュース編集部に奪われてしまうのだ】

 本作りとしては確かにいくつかミスがある。
 日米のマスメディアのあり方はかなり異なるというのに「アメリカのメディア業界で起きたことはつねに三年後に日本でも起きる」などという論調を冒頭に持ってきてしまったこともそうだ。

 それら勇み足への突っ込みは受けるに違いないが、全体の主張としては説得力に満ちている。
 いまや山火事のようにあちこちで騒がれているとおり、マスメディアの手法が終焉を迎えつつあること、どの方向にも手の打ちようがない段階に入りつつあることはもはや明らかだ。不景気なのではなく、ビジネスモデルとして成り立たなくなってきているのである。

 本書はマスメディアがマスメディアとして生き延びる道を取り上げては八方から塞いで叩きのめす。大手新聞やテレビ局の胡乱さ傲慢さにうんざりして久しい者には「溜飲が下がった」と認めること、やぶさかではない。
 マスメディア側の反論を細かく取り上げ、検討するという作業についてはやや粗さが目立つものの、総選挙前の民主圧勝を伝えた週刊誌同様、ビール片手に面白がって読むぶんには最高である。

 ところで、以前から不思議に思っていたことがある。企業が商品を企画、開発、販売し、さらに次の展開を検討する際には、対象顧客の細密な調査分析が必須である。
 しかるに、大手新聞はトータルの(しかも押し紙等のせいでおよそ正確とは言いがたい)発行部数以外になんら検討の素材がない。たとえば、新聞朝刊のどのコーナーがどの年齢層に実際にはどれほど読まれているか、といった資料など見たことがない。沢山の人に読まれているから影響があります、効果があります、と言われても昨今のビジネスシーンではマーケティングデータとして使い物にならない。この一点を見ても、大手新聞が現在の形のまま生き残るのは難しいように思われてならない。

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