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2009/02/18

追想のアンドレ・ブルトン その二

675アンドレ・ブルトンは、中高い、押しの強そうな顔をしていました。ハンサムな白クマのイメージです。

シュルレアリスムはマン・レイという恰好のカメラマンを得て、そのおかげでメンバーのさまざまな(すごくかっこいい!)写真が多数遺されているのですが、どの写真をみても、ブルトンの顔はすぐわかります。最初から最後まで、「シュルレアリスムの法王」として君臨し得たのは、エリュアールでもアラゴンでもスーポーでもなく、ブルトンでしかあり得なかった、それはもうしょうがないと思わせる、他を圧倒する風貌です。
道ですれ違ってもカラヤンやオザワはすぐわかる、そんな感覚。

そのように、モッブ写真を撮ってもすぐ目立つブルトンは、その独裁性、傲慢さでも知られており、シュルレアリスムというあまり科学的とは言いがたい運動に生涯を捧げた面と、単なるパリのジャイアンという面を併せ持ち、評価もあい半ば……というより、昨今ではあまり話題にされません。マルクス、エンゲルスやサルトルだって以前ほどには目にしませんが、それにしても「シュール」という言葉の蔓延度合いに比べると、その提唱者としてはまったく忘れられているに近い印象です。

そのせいか、アンドレ・ブルトンについては、日本では完結した「全集」もありません。もともと「作家」というより「運動家」の要素の高い人物だったせいでもあるのでしょうが、その「読まれなさ」は不思議なほどです。

もちろん、「全集」にあたるものを出版しようという機運もなかったわけではありません。人文書院による「アンドレ・ブルトン集成」がそれです。B6版の小さな版型、黒い箱にグレイのカバー、本の表紙は濃いグレイの布張りという非常にシックな造り。全12巻の構想で1970年代にぽつりぽつりと発刊されたのですが、半分の6巻分まで発刊されたところで沙汰やみになってしまいました。
以下が人文書院「アンドレ・ブルトン集成」の内容で、○印が実際に発行されたものです。

  ○第 1巻 ナジャ/通底器
   第 2巻 狂気の愛/秘法十七
  ○第 3巻 詩篇 I
  ○第 4巻 詩篇 II
  ○第 5巻 シュルレアリスム宣言集ほか
  ○第 6巻 失われた足跡/黎明
  ○第 7巻 野をひらく鍵
   第 8巻 シュルレアリスムと絵画
   第 9巻 魔術的芸術ほか
   第10巻 黒いユーモア選集
   第11巻 対談集
   第12巻 政治・芸術論集

もう少し続きます。

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