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2008/08/16

さよならヤングサンデー

379 【なにが「絶対保存版」】
 
 小学館「週刊ヤングサンデー」(以下ヤンサン)が、7月31日発売の35号をもって休刊となった。

 浮き草のマンガ誌が休刊廃刊の憂き目に遭うのは別に珍しいことでもなんでもない。
 そもそもヤンサン自身、同じ小学館の「マンガくん」、「少年ビッグコミック」(あまり知られていないが、あだち充『みゆき』、新谷かおる『エリア88』、小山ゆう『愛がゆく』などマンガ読みを動揺させた作品をいくつも残した名少年誌だ)のリニューアル刊行だった。20年間とはいえ、よくぞメジャーになり遂げた、と言ってもよいのかもしれない。

 ただ、今回の休刊がひどく唐突に見えたのは、たとえばはた目にもジリ貧明らかだった双葉社「漫画アクション」の誌面刷新時などに比しても、ヤンサンは山田貴敏『Dr.コトー診療所』、黒丸『クロサギ』など映像でヒットした作品がいくつも現役で、こと話題作にこと欠かないように見えたためだった。
 しかし、いくら話題作を提供しているとはいえ、広告収入の期待できないマンガ誌で公称20万部(実質12、3万部か?)はいかにも厳しい。
 書店、流通のマージンを引いて6割が入る、広告は表まわりでせいぜい200万円と仮定して、出版社に落ちる金が
   (300円×6割×12万部)+200万円=2360万円
 根拠薄弱な数字ではあるが、1号あたりで動く金がこれより多少上だったとしても、それで原稿料、印刷・製本費、グラビア撮影の出張費から小学館社員の高給まで賄うのは到底無理だったろう。

 とはいえ、ごく一部の長寿誌を除いて、マンガ誌の多くは、赤字による休刊、リニューアルを繰り返して常に自らをリフレッシュし、その都度新たな作品群を送り出してきたものだ。それがマンガというものの雑駁なパワーの源でもあった。

 だが、今回のヤンサンの休刊は、従来のマンガ誌の休刊とはどこか違う、マンガ産業そのものの凋落を表す事件のように思われてならない。
 若者の趣味の多様化、ことにポータブルゲーム機と携帯電話の普及がマンガを購買する層を削り続けているのは間違いない。問題は、テレビドラマやゲーム産業が、そのアイデアやストーリー、キャラクターを、彼らがまさに駆逐しているマンガに負っていることだ。ヘビが自らの尾を齧って齧って、だんだん丸まってしまう、そんなコンテンツの空洞化を思い浮かべてしまうのはおかしなことだろうか。

 にもかかわらず、マンガ誌をかかえる出版社がマンガを大切にしないこと、不思議というか呆れるばかりだ。

 ヤンサン休刊号を見てみよう。
 ヤンサンはもともとアイドルの水着グラビアに力を入れる雑誌だったが、休刊号の表紙はご覧のとおりグラビアアイドルのアップで、連載マンガは下のほうにただラインナップが列記されるだけ。過去現在の作品についての特集記事の類もなし。
 作家の大半は休刊についてごく最近知らされたらしく、話をうまく閉じることができない。
 巻末の告知では、『クロサギ』『イキガミ』『鉄腕バーディー』『土竜の唄』『とめはねっ!』『逃亡弁護士 成田 誠』『LOST MAN』『おやすみプンプン』『RAINBOW』という、いかにもヤンサンな連載陣がビッグコミックスピリッツに移行することが知らされる。これだけの作品が移って、スピリッツはそのカラー、オリジナリティを維持できるのだろうか。
 小学館はヤンサン掲載作品を軽んじただけでなく、一方のスピリッツをも軽んじているのだ。

 これから木曜日はどうしたらいいのだろう。
 別れに慣れてるわけじゃない……これは誰のセリフだったろうか。

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