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2007/03/19

近況,『眠れる美女』,加えて『アヒルと鴨のコインロッカー』,今さら『Death note』

314 久しぶりに川端康成を何冊か続けて読んだり,アガサ・クリスティの未読だったノンシリーズものに手を伸ばしたり,と,カラスごときには敷居の高い読書が続いている。康成の『眠れる美女』(新潮文庫)や『片腕』(ちくま文庫)は何度読んでもすごい。すごすぎて悪酔いしたような気分。
 「青空文庫」に森鴎外の怪談「鼠坂」が公開された。こちらは通勤途上でケータイで読むということを試してみたが,肝心の作品が期待したほどには面白くない。以前少しふれた「蛇」といい,どうも鴎外の怪談は生理的に合わないようだ。

 伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』(創元推理文庫)はまったく期待外れ。デビュー作の『オーデュボンの祈り』(新潮文庫)だけが抜群によくて,世評に高い『重力ピエロ』(新潮文庫)含めてあとはなにか拡大再生産の印象。
 ところで伊坂幸太郎が志向しているのってもっとも良かった時代のカート・ヴォネガットJrのセンだと思うのだけれど,それでいいんだよね? そういう指摘を目にしないので少し不安。

 コミックでは今さらながら『Death note』(ジャンプ・コミックス)をぱらぱらめくる。厳しい条件づけの中でのサスペンスに原作者の頭のよさは感じるが,キャラクターやストーリーにまるで魅力を感じない。結局,最終巻を除いて後半は面倒くさくて読み通すことさえできなかった。ノートに名前を書けば相手が死ぬ,という時点でもうお手上げ。「あの国に爆弾落としちゃいなさい」と口にできる為政者とか,パッドのAボタン連射で画面内の敵を皆殺しにできるうけけけゲームとか,その程度のリアリティにシリアスな絵柄やセリフがかぶさるものだから始末が悪い。
 唯一興味深いのは,原作者の大場つぐみが誰なのかは不明らしいが,同じ小畑健作画の作品として,主人公の主たる行為(殺人,囲碁)がほかの人物に見えない霊的な存在(死神,佐為)に代行してもらっているという構造が『ヒカルの碁』そっくりだということ。『Death note』の原作者が『ヒカルの碁』からモチーフを得たのか,たまたまそうなったのか知らないが,いずれにしても気持ちが悪い。囲碁や殺人くらい,自分の手と頭使ってやれよ。

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