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2007/01/11

我もまた檻の獣なれば 『ZOOKEEPER』 青木幸子 / 講談社イブニング(2007/01/23 No.03)

【個体数を回復できても 最速の特性をなくしたとしたら ……それはチーターなのか】

 手放しで,という言葉がある。

 それを通り越して,脳みそ放し状態。頭のはちが開いて大脳が四方八方に踊りながら伸びていくような気分。目からはぼたぼた涙があふれ,鼻水垂れ,よだれ腹を伝う。
 めったにないことだけれど,この時のために音楽を聴いたり本を読んだりしているのだ,だ,だっだっだだだだだだだっっと黒板にチョークを叩きつけたい。キスしよう。電車を待つ乗客全員ヒザかっくんだ。

 ことほどさように,今週のイブニング『ZOOKEEPER』は,よかった。

 『ZOOKEEPER』は独楽動物園の新米飼育員が,動物たちの飼育や展示にまつわる難問をゆっくりじっくり解決していく隔週連載だ。主人公楠野香也は「温度の変化が見える」特殊能力の持ち主だが,そういったマンガ的設定抜きでも十分面白くなり得たのではないか。そう思えるだけの取材と人物設定が厚みのあるストーリーを産んでいる。個人的にはフレンドパーク担当アカネちゃんのファンだ。

 新章「チーター編」は予想外のまとまった予算が市からおりることになった独楽動物園で,飼育員たちが自分の担当する動物の展示企画を競う話。新しいサブキャラとして極端に無口な陸上競技選手(アスリート)と園の飼育係を両立する青年桑崎を配し,さて,ということになる。

 そして,最後のページだ。

 マンガで脳みそがジョウントしてしまうシーンというのは,たとえば苦戦の末の勝利であったり,思いがけない得恋であったり,いろいろあるのだけれど,その章のテーマを示されただけで全身がブルってしまうことはそうはない。めったにない。いや,はっきり言って記憶にない。

 香也の「(チーターは)今のまま飼育を続けたら 速く走れなくなったりしませんか?」という素朴な問いに黙ったまま全身を緊張させた桑崎が,途方に暮れる。

 そして,最後のページだ。途方に暮れた桑崎が走る。走りながらうろたえる。

    チーターは今や
    食べるためではなく
    チーターであるために
    走るべきなのか

      チーターの
      疾走は
      展示する事が
      できるか!?

 でりーしゃす。マンガが好きで,よかったと思う。

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